支援会社こそコンテンツ発信すべき理由
2024/07/27
コムエクスポジアム・ジャパン株式会社が実施した『2024年「企業が注力するマーケティング」調査レポート』では、「この先1年で重要度が増し、注力する・予算を振り向ける施策は?」という問いに対し、1位・2位に「オウンドメディアの充実・強化」「コンテンツマーケティングの強化」が挙がった。今や、コンテンツマーケティングの重要性を疑う者は少ない。
あらゆる企業においてコンテンツ発信は重要であるが、支援会社は特にコンテンツ発信に注力すべきだと私は考えている。今回は、支援会社においてコンテンツが重要な理由、コンテンツ発信に関する誤解について解説する。
支援会社は、自社が高度なナレッジを持っていると証明する必要がある
企業は「事業会社」と「支援会社」の2つに分けられる。
事業会社とは、自社が中心となり、商品・サービスを提供する会社のこと。製造業、SaaS企業などが例として挙げられる。一方の支援会社とは、特定の領域において企業の事業運営を支援する会社のこと。コンサルティング業、研修業、アウトソーシング業などが例として挙げられる。
コンテンツ発信はいかなる企業においても重要であるが、とりわけ支援会社においては大きな意味を持つ。
支援会社は、形ある商品やシステムを販売しているわけではない。明確な売り物がないなかで、自社が持っているナレッジへの信頼を得て、発注してもらう必要がある。
顧客は自社事業を推進するなかで、あらゆる問題・課題に直面する。それらを解消するために情報収集し、得た情報をもとに施策を打っていく。
顧客が問題・課題を解消するために情報収集するとき、役に立つコンテンツを公開している企業には信頼を寄せる。支援会社が価値あるナレッジを持っていると信頼したうえで、自力では解消できない問題・課題に直面したときに支援会社への発注を検討する。
ナレッジそのものを売り物にしている支援会社は、コンテンツ発信を通じて顧客の信頼を勝ち取る。価値あるコンテンツの存在そのものが、提供しているサービスの価値を裏付ける。
コンテンツ発信に関する4つの誤解
いざコンテンツマーケティングに取り組み始めようとすると、関係者が持つコンテンツ発信に関する誤解によって、推進が思い通りに進まないことがある。コンテンツ発信に関する誤解は、大きく4つに分けられる。

誤解1:コンテンツ発信によって、競合企業にナレッジが流出する
支援会社がコンテンツ発信に取り組もうとすると、コンサルタントや研修講師など、サービス提供の役割を担う人に協力を要請することになる。すると、彼ら彼女らからこのような懸念が上がることが多い。
「コンテンツ発信によって、競合企業にナレッジが流出してしまうのではないか」
自社が持っているナレッジをWeb上に公開すれば、当然競合企業の人が目にする場合もある。公開したナレッジが模倣される場合もあるだろう。
しかし、サービス提供という原体験を通じてナレッジを生み出した自社と、それを模倣した企業、どちらの方がそのナレッジを広く、そして深く伝えられるだろうか。
私が高校3年の頃、とあるクラスメイトから放たれた言葉が今も記憶に残っている。
高校時代ラグビー部に所属していた私は、県大会のベスト8を賭けた試合で敗れ、引退することになった。
クラスメイトだったラグビー部のキャプテンは引退試合の翌日、世話になった女子マネージャーにコンビニのエクレアをプレゼントしていた。それに感化された私は、ケーキ屋さんで購入した焼き菓子をマネージャーにプレゼントした。
私は別のクラスメイトにこう相談した。
「何も考えず、キャプテンよりも良いものをプレゼントしてしまった。キャプテンのプレゼントが霞んでしまわないか不安だ」
すると、クラスメイトはこう答えた。
「安心しろ。二番煎じが一番手を超えることは絶対にない。マネージャーへの感謝をもとに最初に動いたキャプテンと、キャプテンに感化されて動いた君には天と地ほどの差がある」
これはコンテンツ発信にも同じことが言える。後から誰かに模倣されたとして、一番初めにナレッジを生み出した企業の価値が霞むことはない。
誤解2:ナレッジを無料公開すると、サービスにお金を支払ってもらえない
コンテンツ発信への協力を依頼すると、このような意見を受けることもある。
「ナレッジを無料公開すると、サービスにお金を支払ってもらえなくなるのではないか」
これもコンテンツ発信にまつわる誤解の一種であると言える。
仕事における学習には、4つの段階がある。

ひとつのコンテンツに触れただけで「実行できる/成果を出せる」まで到達できるのは稀なケースだ。多くの場合、「知る/理解する」のどちらかに留まる。
トレーニングの情報がYoutube上に溢れていても高い費用を支払ってパーソナルトレーニングを依頼する人がいるように、コンテンツを読み込んだとしても支援を依頼する企業もある。これは、「知る/理解する」と「実行できる/成果を出せる」の間に大きな隔たりがあるからだ。
ナレッジを無料公開したからといって、顧客がすべての問題・課題を自己解決できてしまうということは起こり得ない。価値あるナレッジを公開している企業に信頼を寄せ、支援を依頼されることが徐々に増えていくだろう。
誤解3:コンテンツ発信は成果が出るまでに時間がかかる
「コンテンツ発信は成果が出るまでに時間がかかる」という考えは多くの人が持っており、一部正しいとも言える。コンテンツ発信は、継続することで効果が大きくなっていく。
一方、コンテンツを届ける対象、届け方によっては早期に成果を生み出すこともできる。早期に成果を生み出す方法としては、以下のようなものが挙げられる。
既存顧客、既存リードにメールなどでコンテンツを紹介する
営業活動など、1to1の場面においてコンテンツを活用して情報提供する
支援実績をもとに、顧客の購買を後押しする
未接触の人にコンテンツを広く届けるには、ある程度の期間を要する。ただし、すでに接点がある顧客とのコミュニケーションにおいて活用するのであれば、早期に成果を創出できるだろう。
誤解4:コンテンツ発信は質より量
「質より量」という理論はありとあらゆる場所で語られており、コンテンツ発信も例外ではない。コンテンツ量が増えることで露出面が増え、成果が増大していくというのが定説である。
しかし、コンテンツ過多の現代では、興味を惹くようなコンテンツですら読まれないこともある。興味を持って「後でしっかり読みたい」と思ってブックマークしても、時間が立つにつれて興味が薄れたり、忘れてしまったりすることはある。私のブックマークにも、読むつもりだったのに読めていないコンテンツが山ほど眠っている。
興味を惹くような価値あるコンテンツですら読まれない現代において、量を追って生産されたコンテンツは当然読まれない。顧客の行動を呼び起こしたいのであれば、とことんまで価値を追及してコンテンツを生み出す必要がある。
関連記事:コンテンツの良し悪しは何で決まるのか
与えよ、さらば与えられん
1世紀から2世紀にかけてキリスト教信者によって書かれた新約聖書には、このように書かれている。
「求めよ、さらば与えられん」
これは、「何かを求めるのであれば、それを得るために積極的に行動すること」を説いた記述である。コンテンツ発信において言えば、このように言い換えられる。
「与えよ、さらば与えられん」
自社独自のナレッジをコンテンツとして発信し、価値を提供し続けることで、巡り巡って自社の利益につながる。自社事業の成長が欲しければ、価値あるナレッジを提供することに集中するべきだ。
コンテンツ発信によって企業が得られる恩恵は多岐にわたる。自社が持つナレッジを惜しみなく放出し、発注するに値する会社であることを証明しよう。
この記事の執筆者
株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
大学卒業後、新卒で人材系ベンチャー企業のネオキャリアに入社。マーケティング本部にて、新規BtoBメディア事業の立ち上げを経験。 その後、MAの導入活用支援会社に転職し、コンテンツ編集長として自社マーケティングと新規顧客開拓を推進。
2024年1月、株式会社グロースソイルを創業。BtoB企業のナーチャリング課題を解消できる会社づくりに取り組む。


