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コンテンツの良し悪しは何で決まるのか

コンテンツの良し悪しは何で決まるのか

2024/04/10

先日、飲みの場で元同僚からこう問われた。

「コンテンツの良し悪しは何をもって判断していますか?」

私が前職に在籍していたころ、原稿の修正を依頼するときは意図もあわせて伝えていた。しかし、”コンテンツ”の良し悪しを判断する基準は示せていなかった。修正依頼の意図は理解してもらえていたが、「どんな形で初稿を上げればよいのか」は理解できなかったのではないかと推測する。

コンテンツマーケティングに携わる方と話していても、こんな悩みを耳にすることは多い。

「コンテンツを作っているが、何を意識してコンテンツを作ればよいのか分からない」
「上がってくる原稿の良し悪しをどう判断すればよいか分からない」
「同僚やライターが作成した原稿の修正に手間を要しているが、なぜ修正が必要なのかを言語化できていない」

本記事では、コンテンツマーケティングを専門としている私が「何をもってコンテンツの良し悪しを判断しているのか」を解説する。本記事の内容が、コンテンツ品質向上の一助になれば幸いだ。

※本記事はBtoB企業でコンテンツマーケティングに携わる方を想定して執筆します
※コンテンツには様々な形式がありますが、今回は”記事コンテンツ”を対象とします

良いコンテンツの条件【企画】

原稿作成に入る前の企画段階で、コンテンツの良し悪しはおおむね決まっている。企画において最も重要なことは「誰に(Who)」「何を(What)」を明確にすることだ。

誰に届けたいのかが明確である

良いコンテンツは「誰に(Who)」が明確になっている。読者が属する企業の業界、企業規模、読者の立場、抱えている悩みなどが決まっている。

「誰に(Who)」を明確にするうえで重要なのは、「個別に連絡してそのコンテンツを届けたい人」が実在することだ。1対nで発信して読んでもらうのと、1対1で連絡して読んでもらうのとでは大きな隔たりがある。連絡する人を事前に決めておくことで、企画の解像度が格段に上がる。

コンテンツディレクターとして社員やライターに執筆を依頼するときは、記事を公開した後にお知らせする人を企画段階ですり合わせると良い。実在する人に届けることを想定して執筆することで、文章に魂が宿る。

“読者”にとって価値がある内容になっている

良いコンテンツを作るには、「伝えたい気持ち」をコントロールする必要がある。「伝えたい気持ち」はコンテンツ制作を継続するエネルギーとなるが、主眼的なコンテンツを生み出してしまう元凶にもなり得る。先走る気持ちをグッと堪え、「読者の役に立つことを伝える」という意識を持たなければならない。

話の道筋を骨子作成の段階で決めておけば、「伝えたい気持ち」は幾分かコントロールできる。必要な情報を届けるための道筋を立て、立てた道筋に従って粛々と執筆しよう。

良いコンテンツの条件【骨子】

違和感がない構成で作られているコンテンツは、読みやすいという印象を与える。ここでは、構成が整った良い骨子の特徴を解説する。

見出しの階層が整理されている

良いコンテンツは、文章全体の構造が綺麗に整理されている。見出しの階層が整理されているコンテンツは、目次を読むだけで話の大筋を理解できる

例えば、グロースソイルが公開している記事『原点回帰で考える「コンテンツマーケティング」とは』では、h2,h3を以下の通り整理している。


  • コンテンツマーケティングの定義

  • コンテンツマーケティングが企業にもたらす10の恩恵

    コンテンツが資産となり、収益拡大の基盤となる

    一定の運用コストで成果を拡大できる

    顧客の第一想起を取れる

    ターゲット層と広く接点を持てる

    読者間でのシェアを期待できる

    営業活動を効率化できる

    営業活動の質を高められる

    顧客との関係深化につなげられる

    自社内のナレッジシェアにつながる

    会社としてのブランディングにつながる

  • コンテンツマーケティングの歴史

    農家向け雑誌『THE FURROW』創刊(1895年)

    ドライバー向け雑誌『ミシュランガイド』創刊(1900年)

  • コンテンツマーケティング活動が次第にズレてしまう原因

    本来の目的を忘れ、KPIの達成が至上命題となってしまう

    コンテンツマーケティングの目的と評価基準を定義・共有できていない

  • コンテンツマーケティングを成功させるための要点

    コンテンツマーケティングの成功を定義し、成功までのロードマップを敷く

    コンテンツマーケティングの目的と「成功」の定義を社内に共有する

    顧客像をチーム内で一致させる

    コンテンツマーケティングの収益貢献を可視化できる環境をつくる

  • コンテンツマーケティングの成功をつかむ戦略策定手順

    1. コンテンツマーケティングの目的を定義する

    2. ターゲットオーディエンスを決める

    3. 顧客解像度を高める

    4. 競合理解を深める

    5. 自社の提供価値を明確化する

    6. メッセージハウスを作成する

    7. 制作するコンテンツ形式を選定する

    8. KPIを設計する

    9. コンテンツ制作計画を立てる

    10. コンテンツ制作に必要な体制を整える

  • コンテンツマーケティングは、企業を持続的な成長へと導く礎となる


目次を読めば、どのような情報を得られるコンテンツなのかが分かる。そして、読者は特に読みたい部分だけを読むことができる。階層を整理することは、読者の貴重な時間を有効活用してもらうことにも繋がるのだ。

読者が最も知りたいことに対して初めに回答している

検索流入を重視するコンテンツの場合は特に、「読者が最も知りたいことに対してはじめに回答すること」を意識すべきだ。

人はちょっとしたスキマ時間や業務時間など、限られた時間のなかで情報収集している。そのため、必ずしも記事を全文読む余裕はない。知りたいことに対してすぐに回答しないコンテンツは、早々に読むのを切り上げられてしまうだろう。

情報の順序立てにも顧客視点が表れる。「顧客の情報収集を支援する」というスタンスで骨子を作るようになれば、自ずと顧客が求める情報を冒頭に置くようになる。

良いコンテンツの条件【文章表現】

最後に、基本的な文章表現方法を解説する。
「卓越した文章力を身に付けたい」という方には、以下の書籍をおすすめする。

三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾|著:近藤 康太郎

主語・述語が明確である

読者が内容を正しく理解できるよう、主語・述語は明確に示す。主語・述語が曖昧だと、読者は文意を理解するのに苦労する。理解が難しい文章は読む気力を損ね、数行読んだところで大半が離脱していく。


主語・述語が明確でない文章の例

会議中、プロジェクトの進捗状況について様々な意見が出され、活発な議論がおこなわれ、最終的に新しい方針が決定された。

主語・述語が明確な文章の例

会議中、参加者がプロジェクトの進捗状況について様々な意見を出した。参加者は活発な議論をおこない、最終的に新しい方針を決定した。


この書き換えでは、主語を「参加者」とし、述語を「意見を出した」「議論をおこない」「方針を決定した」としている。これにより、誰が何をしたのかが明確になり、文章の意味が分かりやすくなっている。

助詞を正しく使用できている

助詞の扱いは、文章の読みやすさに大きな影響を与えている。

「て」「に」「を」「は」を正しく使用することが重要だとよく言われるが、助詞は「て」「に」「を」「は」だけではない。以下の助詞も正しく使えるようになると、より読みやすい文章を書けるようになる。

助詞

役割

が(格助詞)

主語を示す

私が掃除します。

を(格助詞)

目的語を示す

記事を書きます。

に(格助詞)

場所、時間、目的、方向を示す

オフィスにいきます。

で(格助詞)

場所、手段、材料を示す

電車で移動します。

と(並立助詞)

名詞と名詞を並列に結ぶ

阿部と山下をプロジェクトに参画させます。

や(並立助詞)

複数の名詞を例示的に並べる

本やノートを持ってきてください。

も(副助詞)

肯定の意味を添える

私もいきます。

は(係助詞)

主題や対比を示す

私は出社しています。

の(連体助詞)

名詞と名詞を結びつける

私のPCです。

か(終助詞)

疑問や確認を示す

これは確認したうえでの提出物ですか?

上記の助詞を正しく使用できるようになると、スベる(流れるような)文章になる。原稿を執筆・編集するときは、助詞の使い方を重点的にチェックすると良い。

一文を50字程度に抑えられている

長すぎる文章が読者を疲弊させることは、誰しも同意するだろう。しかし実際は、冗長な文章が世に溢れている。読みやすい文章を作るには、一文を適度に区切ることが大切だ。


一文が長過ぎる文章の例

弊社ではこの度、業界の最新トレンドを踏まえつつ、お客様のニーズにも細部までお応えできるような革新的な製品の開発に着手しており、プロジェクトメンバー一同、日々研鑽を重ねながら、品質向上と納期厳守に全力で取り組んでいるところでございますが、つきましては、今後のプロジェクト進行において、貴社の豊富なご経験とノウハウを賜りたく、ぜひとも技術提携という形でのご協力をお願いできればと考えている次第でございます。

読みやすいように直した文章の例

弊社では、業界の最新トレンドを踏まえつつ、お客様のニーズに細部までお応えできる革新的な製品の開発に着手しました。プロジェクトメンバー一同、品質向上と納期厳守に全力で取り組んでおります。

つきましては、今後のプロジェクト進行において、貴社の豊富なご経験とノウハウをお借りしたいと考えております。技術提携という形でご協力いただければ幸いです。


上記の例では、長い一文を4つに分割している。また、「日々研鑽を重ねながら」「ぜひとも」といった無くても意味が通じる言葉を削っている。

無くても意味が伝わるものは書かない一文に2つ以上の意味を持たせない。これらを意識するだけでも、一文の長さを大幅に圧縮できるだろう。

同じ文末表現が連続していない

同じ文末表現が連続すると、文章は単調なリズムになる。


同じ文末表現が続く単調な文章の例

新製品の販売は好調だ。市場シェアが拡大している。顧客からの評価も上々だ。引き合いが増加傾向にある。

文末表現を変えた例

新製品の販売は好調で、市場シェアは拡大中。顧客からの評価も上がり、引き合いは増加傾向だ。


同じ意味の文章でも、文末表現を変えるだけでリズムが生まれる。単調な文章にならないよう、文末表現のバリエーションを増やすと良い。

文末表現のバリエーションを増やしたければ、日常的に本を読むに限る。ビジネス書だけでなく、小説も読むと良い。気に入った作家を見つけたら、その作家の本を読み込んで文体を真似てみる。良い文章を書くには、良い文章を読むのが一番だ。

文章を音読してもリズムよく読める

良い文章は、音読してもリズムよく読める。一文の長さ、句読点の位置、言葉選びに気を配ることで、摩擦のない文章になる


リズムが悪い文章の例

商談を重ねていくうちに信頼関係が徐々に構築されていって契約締結したときには互いの思いがひとつになったと実感した。

リズムが良い文章の例

商談を重ねるうちに、徐々に信頼関係が構築されていった。契約締結に至ったときは、互いの思いがひとつになったことを実感した。


摩擦がなくリズミカルに読める文章になるまで、繰り返し音読しながら文章を調整する。よどみない文章は読者にスッとなじみ、読み進めていく原動力になる

良いコンテンツの条件【心構え】

最後に、コンテンツマーケティングに携わる人が持つべき心構えについて触れる。優れたコンテンツマーケターには、ここで紹介する2つの心構えが備わっている。

自社のブランド価値向上に寄与する内容になっている

集客の手段としてコンテンツマーケティングに取り組むあまり、質を蔑ろにしてコンテンツを量産している企業も多い。実際、検索エンジンから高い評価を得るためには一定量のコンテンツ数が必要であり、量を取る方針が間違っているわけではない。

しかし、契約後にサービス提供を開始することが多いBtoB企業にとって、コンテンツは自社が提供できる価値の証明材料でもある。顧客は企業が発信している情報を見て、相談すべき会社かどうかを判断している。内容が薄く、マイナスな印象を持たれてしまうコンテンツは、かえってブランドを毀損してしまう。流入が増えれば増えるほど、その影響は大きくなっていく。

自社の名義でコンテンツを公開するときは「そのコンテンツの内容が自社の価値提供水準である」と認識されて問題ないかといった視点を持つ必要がある。

執筆者自身がそのコンテンツのファンになる

あらゆる物事のデジタル化と生成AIの台頭により、世界で流通しているデータ量は指数関数的に増加している。

流通しているデータ量の増加に比例して、世に生み出されるコンテンツの数も増加し続けている。「気になるコンテンツを見かけても、大半は目を通せていない」という人も多いだろう。人が持っているリソース(主に時間)に対して過剰にコンテンツが供給されている

そんな環境下でも自社が制作したコンテンツを読んでもらうには、そのコンテンツを心から愛しているファンが必要だ。ファンの熱狂的な推奨があってやっと、読者はコンテンツを開く。

コンテンツで人を惹き付け、ファンを生み出すには、少なくとも執筆者自身がそのコンテンツの熱狂的なファンでなければならない。自分で読み返してニヤけてしてしまうくらいまで仕上げてはじめて、読者の興味を惹けるレベルに至る。時間を割いてコンテンツに触れてもらうということは、それだけ重いことなのだ。

まずは100記事書く

どんなに優れた文章術の書籍やコンテンツを読んだとしても、一夜にして文章が上手くなることはない

企画し、フィードバックを受け、練り直す。そして書き、読み返し、添削を受け、書き直す。その繰り返しのなかで、読者に選ばれるコンテンツを生み出せるだけの力が身につく。100記事書き続ければ、企画時と執筆時に意識すべきことが身体に染みつき、良いコンテンツを継続的に生み出せるようになるだろう。

この記事の執筆者

株式会社グロースソイル
代表取締役

髙橋 航平

Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客指向のナーチャリングを実装している。