マーケティングオートメーション(MA)とは|機能、SFA/CRMとの違い、導入前に知っておきたいポイントを解説
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見込み顧客へのアプローチや数値の分析など、マーケティング活動を個別化・自動化・効率化する手段として、マーケティングオートメーション(MA)の活用が一般的になっています。
一方で、MAで何ができるのか、何を得意としたツールなのかを理解しないまま導入した結果、十分に利点を活かせていないケースも少なくありません。
本記事では、MAの定義と主な機能、SFA/CRMなど関連ツールとの違いを整理したうえで、MAを成果につなげるための運用の考え方を解説します。
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マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客を獲得してから商談化するまでのマーケティング上のコミュニケーションを自動化するツールです。
全員に対して画一的なメッセージを送るよりも、一人ひとりの立場・興味関心に合わせて送り分ける方がよいコミュニケーションになるのは自明です。しかし、対象者が数千・数万人となってくると、個別性の高いコミュニケーションを手作業で実行するのは現実的ではありません。
事業規模の拡大やリード数の増加後も個別化されたコミュニケーションを維持する手段として、MAを導入をするのは自然な選択といえます。
MAの重要性が高まっている3つの背景
MAの重要性が高まっている背景には、BtoBマーケティングを取り巻く3つの変化があります。
個別化が競争の前提となった
MAが普及する前のBtoBマーケティングでは、獲得したリードに対して同じ内容のメールを一斉配信するのが一般的でした。しかし、米Marketoが日本市場に参入した2014年頃から、国内でもリードの属性や行動に応じて配信を分けるセグメントが実践されるようになります。
多くの企業がMAを導入している今、買い手目線でも、自分の興味関心に合わせた情報が届く体験が日常的なものとなっています。他社が個別化されたコミュニケーションを始めるなかで自社は全体配信しか手段がないと、相対的には劣後していくことになります。
そういった競争原理のなかで、MAは「Nice to Have」なものから「Must to Have」なものへと変化しています。
リード獲得コストが上がり、獲得後の関係構築の優先度が高まった
リードの獲得にかかるコストは、年々上昇しています。グロースソイルが2025年末に実施した『BtoBマーケティング責任者のナーチャリング実態調査2026』でも、93.2%の方から、「直近3年間でリード獲得コストが上昇した」という回答がありました。
新しいリードの獲得に限界がある以上、すでに獲得したリードからより多くの商談を生み出す方向に意識が向くのは自然な流れです。それを実現するためにMAを新規導入、あるいは自社に最適なツールへとリプレイスする企業が増えています。
顧客が自分で調べてから問い合わせるようになった
今や購買検討に必要な情報の多くはインターネット上に公開されており、AIで情報収集の負荷も著しく下がっています。そのため、BtoBの購買担当者は売り手に問い合わせる前に自分で情報収集を済ませる傾向が加速しています。
株式会社wib(現:シンクパートナーズ株式会社)が2024年に実施した調査では、直近1年以内にBtoB商品を購入した決裁者500人のうち84%が、購買を決定づける情報を営業担当と接触する前に入手したと回答しています。
出典:【独自調査レポート】BtoBの購買プロセスにおいて、84%の決裁者が営業担当との接触前に購買を決定づける情報にリーチ|PR TIMES
こうした状況では、見込み顧客が購買に乗り出す前に価値ある情報提供を続けておく必要があり、その手段としてMAが求められています。
MAでできること|主な機能
MAの機能は、ツールによって名称や区分が異なりますが、概ね共通しています。ここでは5つの機能に整理して解説します。
ライフサイクルステージ管理
ライフサイクルステージは、各リードが「今どの段階にあるのか」を管理する機能です。「サービス資料をダウンロードした」「ナレッジコンテンツに接触した」といった顧客の行動履歴や「従業員数○名以上」「課長職以上」といった属性情報を参照してステージを分類し、優先的にアプローチすべきリードを判断する基準とします。
ツールによって差が出やすいのは、ステージをどこまでカスタマイズできるかです。簡易的なMAツールは、細かな要件定義をせずに使い始められることを価値としているものが多く、ステージの定義もツール側で決まっていることが大半です。一方で、MAはあくまで手段であり、どのように活用すべきかは事業戦略やビジネスモデルに準拠して決まります。
自社がやるべきことを実現するのにカスタマイズが必要であれば、高機能なツールを利用する方が得策ということもあるでしょう。
ダッシュボード構築
ダッシュボードは、リードの状態をどれくらい遷移させられているか、メールやイベントといった各施策が収益にどう影響しているかといった状況を可視化する機能です。
施策を振り返るたびにデータをエクスポートして整形していると、集計だけで多くの時間を要します。数字の確認はPDCAサイクルを回すうえで欠かせない作業ですが、そこにリソースを取られるほど、成果を生む施策の実行にあてる時間が減っていきます。分析にかかる作業をなるべく自動化するために、MAのダッシュボード機能が活用されます。
ダッシュボード機能はツールによる差が大きく、ものによっては自由度がかなり低い、あるいは欲しい機能自体がない場合もあります。選定時には、どの数字をダッシュボードで見られるのか、その数字の集計基準をどのようにカスタマイズできるかまで確認しておくとよいでしょう。
ワークフロー
MAの自動化を支えるのがワークフローです。
特定の行動をとったリードを次のステージへ移す、特定のステージに達したリードに自動でメールを配信するなど、自社のマーケティング戦略に合わせて処理を実装できます。
行動トラッキング
行動トラッキングとは、「いつ、どのコンテンツにアクセスしたか」といった見込み顧客の行動情報を取得・蓄積する機能を指します。顧客の関心がどこに、どの程度向いているかを行動から予測し、売り手が次に取るべきアクションの判断基準として活用します。
顧客に喜ばれるコミュニケーションの要となる一方で、取得可能なデータは法規制によって変動するため、導入時点でできたことが数年後には制限されることもあります。また、トラッキング能力においてツールごとの差はさほど大きくないため、ツール選定段階では機能の有無を気にし過ぎない方がよいというのが当社の見解です。
施策の実行機能
施策を実行するための基本機能としては、主にフォーム、LP、メールがあります。
・フォーム
リードの獲得やデータの更新に使用。フォームでの取得項目やデザインのカスタマイズ性、埋め込み方法等に差が出る要素
・LP
多くのMAで、簡易的なLPの制作が可能。イベントの申し込みページやサンクスページなど、繰り返し利用したいページの制作で活用する
・メール
単発メールやシナリオメール、ステップメールのほか、イベント申込完了通知等のオペレーショナルメールも該当する。A/Bテストの可否やシナリオ設計の自由度などでツール間の差が出る
施策の実行機能では、できることの範囲や自由度と同じくらい、操作性も重要です。特にフォーム作成やメール配信といったように頻繁に使う機能の場合、1回あたりの作業時間の違いが生産性に影響します。
MA・SFA・CRMの違い
MAと同様レベニュー活動を管理・効率化するツールとして、SFA(Sales Force Automation)・CRM(Customer Relationship Management)が挙げられます。
MA(Marketing Automation)
マーケティング上のコミュニケーションを自動化。1対Nを前提に、多数のリードと接点を保ち続ける
SFA(Sales Force Automation)
新規営業活動を効率化。商談化前後の営業進捗を管理し、次に取るべきアクションを提示する
CRM(Customer Relationship Management)
既存顧客との関係構築活動を管理し、LTV(顧客生涯価値)向上を目指す
レベニュー組織全体が目標どおりに機能しているかを評価するためには、マーケティングから営業までのデータを一貫して管理できる必要があります。そのため、MAからSFA、CRMまでをデータ連携して運用することが欠かせません。
基本的にはワンプラットフォームで運用するのが望ましいですが、別のツールを組み合わせる場合でも、データを双方向に連携できるものを選ぶことが重要です。

MA運用を成果につなげるための考え方
MAを導入したからといって、自動的にマーケティングがうまくいくわけではありません。MAによる効率化・自動化を成果向上につなげるためには、次の4つの考え方が重要です。
顧客は売り手の想定通りには動かない
MAを使い始めたときは、「まずはお役立ちコンテンツ、次は事例、次はサービス資料を……」と、段階的にサービスに近いものを送ろうと考えてしまいがちです。
しかし、顧客はすべてのメールを見ているわけではありません。メールの開封率は20%前後、クリック率は0.5~1.0%程度に収まることが多いなかで、こちらの想定したシナリオに沿って行動する顧客はほとんどいないといって良いでしょう。
売り手の設計によって顧客の行動をコントロールすることはできませんが、顧客の行動から今届けるべき情報を推測することはできます。
MAで成果を出すには、「顧客を動かす」のではなく、「顧客の動きに合わせて動く」という考えが大切です。
マーケティング戦略を固めたうえでMAを導入する
MAをどう設計すべきかは、前提となるマーケティング戦略と紐づけて考えます。
たとえばステージを設計するにしても、どのようなステージを組むのか、どのステージ以上は営業が個別対応するのかは、商材特性や営業リソース等に左右されます。
また、セグメントについても、メール配信の度に考えるのではなく、マーケティング戦略上重要なターゲットを抽出したセグメントリストを作成し、そのリストに重点的にアプローチするという考え方で行います。
MAは戦略を実行するための基盤です。マーケティング戦略がない場合は、先に戦略を整備したうえでMAの設計に落とし込むと、事業の成長を支える基盤となるシステムを構築できます。
なるべくシンプルに設計する
MAは多機能で、マーケティング活動の核となるツールのため、多くのことをしたくなってしまいがちです。しかし、どこが要点かわからないままやりたいことを実装していくと、複雑で運用しづらいMAになってしまいます。
ステージ・スコアリング・セグメント・シナリオといったMAの要点となるものをなるべくシンプルに設計したうえで、上に乗せる施策を自由に動かす。
そういったシンプルな運用が、長期的な成果向上に向けてカギとなります。
オートメーションに至る過程は人力である
MAは、マーケティング活動を自動化・効率化してくれるツールです。しかし、自動化・効率化に至るプロセスでは、社内の合意形成や各種実装作業など、人が多く動く必要があります。MAを入れたからといって「楽になる」わけではありません。
また、顧客とのコミュニケーションをすべて自動化できるわけではありません。「人」対「システム」のコミュニケーションよりも、「人」対「人」のコミュニケーションの方が成果につながりやすいのは明らかです。
すべてをシステムで自動化するのではなく、一部を自動化することで、人のリソースを重要な業務に集中させるという考え方のもと、オペレーションを設計しましょう。
MAは、顧客志向のマーケティングに欠かせないもの
相手の行動から興味関心を予測し、それに合わせたコミュニケーションを取る。
これはマーケティングに限らず、あらゆる人間関係において重要なことです。
かつては営業担当者がすべて個別に対応していた時代もありましたが、それではフォローしきれない顧客がいます。加えて、働く人が減少するなかで、人手に頼り続けるモデルの厳しさを考えると、MAによるシステム化は必要不可欠です。
今の社会情勢や競争環境を考えると、MAは顧客志向のマーケティング活動に欠かせないものといえます。
MAの選定や導入時の設計は非常に困難なプロジェクトで、最適な意思決定のためには専門的な知見が求められます。特に初めてMAを導入する場合、手前味噌ながら支援会社のサポートを受けるのがおすすめです。
グロースソイルでは、MAの導入も含めたナーチャリングの無料相談を受け付けております。15分という短時間でお受けしていますので、「ちょっとした疑問を解消したい」という方もぜひお気軽にお申し込みください。
この記事の執筆者

株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
MA/CRMの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。ナーチャリング戦略ファームとして、戦略・MA/CRM・コンテンツの3つの側面で支援するサービスを展開。独自のナーチャリングモデル「レベニューナーチャリング」「アクションナーチャリング」を開発し、企業が顧客志向でナーチャリングに取り組めるよう支援している。


