顧客インサイトを貫く企画の考え方
2024/05/27
「部署異動でコンテンツ企画をやることになったが、企画のやり方が分からない」
「コンテンツ企画をやっているものの、思うような反応を得られない」
コンテンツマーケターと話していると、こんな悩みを耳にすることがある。
このような悩みは、企画という行為そのものへの理解を深めることで解消できる。企画について理解すれば、なんてことはない業務であると腹落ちできるはずだ。
本記事では、企画とは何か、企画を生み出す前に何をすべきか、どのような流れで企画をつくるのかを解説する。
- 企画とは何か
- 企画とは、課題解決そのものである
- 企画で両立すべき2つの要素
- 企画にまつわる3つの誤解
- 企画は一から考えなければならない
- アイデアは天から降ってくる
- アイデア = 企画
- 目的を果たす企画を生み出すための前提条件
- 担当事業のターゲットオーディエンスを明確である
- 担当事業のターゲットが抱える課題を言語化できている
- ターゲットの行動習慣を理解している
- 目的を果たす企画を生み出すまでの流れ
- 1. 解決したい自社の課題を言語化する
- 2. ターゲットを決める
- 3. 企画で解決するターゲットの課題を決める
- 4. 課題の解決方法(≒テーマ)を決める
- 5. 集客方法を決める
- 6. 企画書に落とし込む
- 要点が分かれば企画は30分で終わる
企画とは何か
企画とは、課題解決そのものである
ブックライターとして活躍している上阪 徹 氏は、自身の著書『企画書は10分で書きなさい』のなかでこう語っている。
企画とは何か。
(中略)
何かに困ったり、誰かが困ったり、どこかで問題が起きていたり、ちょっと気になることがあったりする。そういう課題を見つけて、そこに答えを提供していくこと。もっとこうすればいいのに、という提案をする。要するに課題の解決だ、ということです。

企画というと、「独創的なアイデアが必要なのではないか」「選ばれた人にしかできないのではないか」と考えてしまう人が多い。しかし、「企画 = 課題解決」と考えると、誰しも企画ができる可能性を秘めているということがわかる。いや、誰しも日々何かしらの企画をしている。
日常のなかでおこなっている企画として、以下のようなものが挙げられる。
ターゲット
自分
課題
業務の集中力を高めたい
問題
業務中つい軽食に手が伸びてしまう
業務中ついスマホに手が伸びてしまう
企画(解決策)
手が届く場所から軽食やスマホを無くす
このようなちょっとした変化を起こすことも企画であると考えると、誰しも企画をしながら生活していることが分かる。目的を果たす企画を考えるための第一歩は、「企画は難しいもの」という固定観念を解くことだ。
企画で両立すべき2つの要素
企画を考えるときは、「自社の都合」と「顧客の都合」の2つを押さえておく必要がある。

ビジネスとして事業を運営し、事業運営の一環として企画をする以上、自社の目的を果たすことは必要不可欠だ。自社が解決したい課題を考慮せず、顧客の反応だけを考えて企画すると「たくさん集客できたけれど、自社にメリットがなかった」ということが起こり得る。
一方、顧客の都合を考慮しなければ、そもそも企画は失敗に終わる。「知りたいことがあってウェビナーに参加したのに、サービス紹介ばかりされた」といった事態が起こるのは、自社の都合ばかり考えてしまったからに他ならない。
企画するときは「自社の都合」と「顧客の都合」の2つを考慮して、両者にとって得があるように設計する。意義ある企画を生み出すために、この視点は常に持っておきたい。
企画にまつわる3つの誤解
「企画は難しいもの」と考えている人は、企画を誤解していることが多い。ここで紹介する3つの誤解を手放すと、企画がスッと楽になる。
企画は一から考えなければならない
「企画は一から考えなければならない」という誤解は、企画を難しくしている要因のひとつだ。企画をつくるときは、以下の要素を重点的に考える。
自社が果たしたい目的
ターゲット
ターゲットの属性
ターゲットが抱える課題
企画のテーマ
企画を通じて伝えたいメッセージ
何らか果たしたい目的があるから企画を始めるとすると、企画を考える段階で目的を一から考える必要はない。(言語化する必要はある)
また、事業推進のために企画を考えるのであれば、企画のターゲットは当然事業のターゲットと一致する。
このように考えると、企画をするときは「テーマ」と「メッセージ」だけを考えれば良い。企画を考える前から、企画の半分以上は終わっている。
アイデアは天から降ってくる
「アイデアが天から降ってくる」というのは、全くの誤解である。アイデアの種はいつだって、自分以外の誰か(何か)が持っている。
次々とアイデアを生み出す人は、以下のような特徴を持っていることが多い。
目に入るものごとに対して疑問を持つことが多い
人の話を深く理解するまで掘り下げて聴く
書籍や記事を日常的に読んでいる
ビジネスにおいて価値あるアイデアを生み出すには、特に「人の話を深く理解するまで掘り下げて聴く」という資質が求められる。顧客が喜ぶアイデアの種は、顧客のなかに眠っている。
(本記事も知り合いのコンテンツマーケターがこぼした一言をアイデアの種として執筆している)
アイデア = 企画
アイデアと企画は似て非なるもの。アイデアは単なる思い付きであるのに対し、企画は課題解決方法の合意を取るために要件を整理したもの。そして、それを文書化したものが企画書である。
人と話していたり、散歩していたり、予期せぬときにアイデアは生まれる。しかし、アイデアをそのまま上司や関係者にぶつけても、怪訝な顔をされて終わるのがオチだろう。
アイデアにビジネス上のメリットを添えて合意形成するために、企画に落とし込む。アイデアさえあれば、後は単なる要件整理の作業に過ぎない。
目的を果たす企画を生み出すための前提条件
個々のコンテンツ企画を生み出すにあたり、押さえておくべき3つの前提条件がある。

担当事業のターゲットオーディエンスを明確である
ターゲットオーディエンスとは、事業のターゲットとなる顧客群のことを指す。BtoB事業では業界・部署・役職といった属性情報でターゲットオーディエンスを絞り込むことが多い。
マーケティングの一環として企画するのであれば、コンテンツのターゲットオーディエンスは事業としてのターゲットオーディエンスと一致することが多い。自身が担当する事業のターゲットオーディエンスが明確になっているかを改めて確認しよう。
担当事業のターゲットが抱える課題を言語化できている
次に、担当事業のターゲットが抱えている課題を言語化できている必要がある。なぜなら、企画とは”課題解決”であるからだ。
ターゲットが抱える課題を考えるときにやってしまいがちな過ちは、顧客不在で議論を重ねること。どれだけ深く議論したとしても、顧客の声を抜きにして定めた「顧客が抱える課題」は、架空の課題でしかない。
事業としてのターゲットオーディエンスを定め、そこに合致する人と対話を重ねることで真の課題が見えてくる。見えた課題は文書に落とし込み、全員で共有しよう。
ターゲットの行動習慣を理解している
担当事業のターゲットオーディエンスが明確であり、課題が言語化できていれば、ある程度まともな企画はできあがる。しかし、まともな企画があれば必ずしも集客できるとは限らない。ターゲットの視界に入る場所に露出し、惹き込むことではじめて集客につながる。
ターゲットの行動習慣を理解するうえで最良の手は、丸一日密着して観察することだ。しかし、それを許容する顧客はそういないだろう。
現実的な落としどころとして、ターゲットとなる人が朝起きてから夜寝るまでの間、どのような行動をするのか聞くのが良い。行動習慣のインタビューをしているマーケターとそうでないマーケターの間には雲泥の差が広がる。
目的を果たす企画を生み出すまでの流れ
前述した前提条件をクリアできていれば、目的を果たす企画を生み出すのはそう難しいことではない。目的を果たす企画を生み出すまでには、以下6つのステップを辿る。

1. 解決したい自社の課題を言語化する
本来、解決したい課題が先にあり、課題解決のために企画をおこなう。しかし、アイデアや企画業務が先行し、課題を定めないまま動いてしまうということは多々ある。
言語化できていなくても、何らかの課題意識があるから企画をしようという考えに至る。「何の課題を解決したくて企画しようとなったのか」を言語化したうえで企画に取り掛かると良い。
2. ターゲットを決める
企画をつくるときは必ずターゲットを決める。ただ、事業のマーケティングを目的として企画する場合、ターゲットは事業のターゲットと一致することが多い。
事業のターゲットと一致しているにせよ、「この企画では○○をターゲットとする」と定めることそのものに意味がある。ターゲットを決めると、企画の輪郭が見えてくる。
3. 企画で解決するターゲットの課題を決める
マーケティングを目的として企画するコンテンツは、製品・サービスの販促につなげることが多い。そして、製品・サービスが解消できる課題はおおむね決まっている。
この段階では、ターゲットが抱える課題を新たに考えるのではなく、取り上げる課題を選ぶことになる。
4. 課題の解決方法(≒テーマ)を決める
ターゲットと取り上げる課題が決まり、販促する製品・サービスも決まっていれば、テーマは自然と決まる。始点と終点が決まっていれば、辿るルートが見えてくる。
企画全体のテーマを決めた後、具体的な内容(骨子)をつくる。課題解決に必要な情報を並べていけば、骨子はすぐに出来上がる。
5. 集客方法を決める
企画の良し悪しは、コンテンツの質だけで決まるわけではない。良質なコンテンツを生み出し、ターゲットオーディエンスを集めて本来の目的を達成してはじめて良い企画といえる。
集客方法は、ターゲットの行動習慣をもとに考える。ターゲットの行動経路上に自社の企画を露出させ、興味を惹くメッセージを届けられれば集客は成功する。
6. 企画書に落とし込む
これまでの工程で「企画」そのものは完了した。最後に、企画したものを書面に落とし込む。「企画書は合意形成のためにつくる」という視点を持っておくと、人を動かす企画書が出来上がる。
関連記事:人を動かす企画書の作り方
グロースソイルでは、コンテンツ形式ごとに企画書のテンプレートを公開している。下記のGoogleドキュメントをコピーし、自社の運用に合わせて調整したうえで活用してほしい。
GROWTH SOIL_記事コンテンツ企画書&原稿テンプレート
GROWTH SOIL_ホワイトペーパー企画書&原稿テンプレート
要点が分かれば企画は30分で終わる
企画は難しいものだと捉えられがちだが、要点が分かれば30分で終わる程度の作業である。
「企画とは課題解決である」と単純化して捉えると、企画がスッと楽になる。
企画ができるようになると、マーケティング成果を意図的に、そして継続的に上げられるようになる。まずは簡単なものから企画し、企画の楽しさを知ってもらえれば幸いだ。
この記事の執筆者
株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客指向のナーチャリングを実装している。


