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ナーチャリングシナリオの作り方|よくある失敗パターンと、成果を出すためのポイント

ナーチャリングシナリオの作り方|よくある失敗パターンと、成果を出すためのポイント

2026/09/09

メールの反応率を高めようと、配信の順番や分岐の組み方を工夫するケースは多く見られます。しかし、顧客が読みたいと思うコンテンツを届けるためには、細かな分岐以前に、事業戦略に沿ってシナリオ全体の方針を固めておくことが欠かせません。

セグメントをどんな基準で分けるのか、システムと営業がそれぞれどこまでを担うのか。この前提を整理してこそ、ナーチャリングシナリオは商談という成果に結びつきます。

本記事では、ナーチャリングシナリオの定義と必要性から、よくある失敗、成果を出すための原則、マーケティング部門・営業部門それぞれの設計方法までを解説します。

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ナーチャリングシナリオとは

ナーチャリングシナリオとは、コンテンツを使った、リードとの継続的なコミュニケーションの設計を指します。単発のメール配信とは異なり、獲得したリードに対して、どんなコンテンツを、どんな順序・条件で届け続けるかをあらかじめ定め、主にMA(マーケティングオートメーション)上で運用していくものです。

BtoBマーケティングは、第一想起、つまり「課題を感じたときに最初に思い浮かべてもらえるかどうか」が肝心となります。BtoBの購買行動を調べた株式会社WACULの調査でも、第一想起した商品を導入する確率は55.3%と報告されています。

また、一度接点を持てたリードの多くは「今すぐ買いたい」わけではありません。課題が顕在化したタイミングで最初に思い浮かべてもらうには、日常的に自社の情報に触れ続けてもらう必要があります。こうした継続的な情報提供を、全リードに対して人手だけで行うのは現実的ではないため、自動化の仕組みとしてシナリオが必要になるのです。

ナーチャリングシナリオでよくある失敗

シナリオの必要性を理解して設計を始めても、多くの企業が似た失敗に陥ります。ここでは、代表的な4つの失敗パターンを紹介します。

「関心を徐々に高めていける」前提で組んでしまう

シナリオの設計論では、「最初はナレッジコンテンツを届け、次に事例、その次にサービス資料」と、段階的に購買へ近いコンテンツを送る組み方がよく語られます。しかし、売り手の都合に合わせてリードの関心が上がっていくことは、ほとんどありません

株式会社WACULの調査によれば、メールの開封率は20%、クリック率は1%程度とされています。

送ったメールの大半は見られていない以上、こちらが設計した順序どおりに受け手がコンテンツを読み進めてくれることはありません。序盤のナレッジコンテンツが読まれないまま、ある日突然サービス資料の案内だけが目に入れば、受け手にとっては「興味のない商品のセールスをされた」という体験になります。

複雑にしすぎて検証や改善ができない

MAを導入すると、「顧客一人ひとりにパーソナライズしよう」と考えて、分岐や条件をどんどん増やしてしまいがちです。しかし、完全なパーソナライズをシステムで実現するのは、現実的ではありません。

仮に実現する手段があるとすれば、顧客の行動をAIが分析し、その人に合ったコンテンツを自動で送り続ける方針が考えられます。ただその場合、ハウスリストが3万件あれば3万通りのコミュニケーションが誰のチェックも通らずに行われる、コントロール不能な状態になってしまいます。

適切な効果検証や改善を継続するためには、シナリオの分岐はセグメンテーションに留め、「どのような基準で分け、なぜこの顧客に対してこの内容を配信しているのか」を人が説明できる状態を保つのが望ましいといえます。

コンテンツがないままシナリオを先に作る

シナリオはあくまで配信の設計図であり、実際に届けるのはコンテンツです。価値提供できるコンテンツがないままシナリオを組んでも、顧客が自社に関心を向けてくれることはありません。

リードの課題解決に寄与するコンテンツを用意しておき、必要に応じて使い回すことで、シナリオによる継続的な接触が商談化につながります。

ステージとシナリオが連動していない

リードの検討段階を表すステージと、シナリオがバラバラに作られているケースも、代表的な失敗の1つです。

【状態の例】

ステージ上はリードを「MEL」「MQL」で区分しているのに対し、シナリオ上は「Cold」「Warm」「Hot」という別の区分で組んでいる

この状態では、リードがどんな行動をすればMELからMQLへ上がるのかが見えず、ステージとシナリオが接続しなくなります。シナリオは、ステージと同じ区分・同じ用語で作り、ステージとシナリオが連動する相互関係をつくるのが理想です。

グロースソイルでは、ステージとシナリオを連動させながらコンテンツの出し分けもしやすくする設計として、顧客の行動そのものでステージを定義する「アクションナーチャリング」という理論を提唱しています。

アクションナーチャリングについて詳しく見る 

※「アクションナーチャリング」はグロースソイルが独自に開発した理論で、現在商標申請中です

行動のレベル感に応じてステージを分解することで、次のステージへと進めるシナリオを設計しやすくなります。

シナリオで成果を出すための3つの原則

ナーチャリングシナリオを商談化や受注といった成果につなげていくためには、細かな配信の順番や分岐を考える前に、まずは事業戦略に基づくセグメントの切り方や、システムが担う範囲を考えていく必要があります。

ここからは、シナリオを設計する際に押さえたい3つの原則を解説します。

行動情報と属性情報でセグメントし、関心・タイミングに合わせる

全リードに同じコンテンツを送り続けるだけでは、個々の関心やタイミングには合わせきれません。セグメントを切って配信を分けることで、シナリオの成果は高まります。切り口は大きく次の2つです。

行動情報
特定の資料をダウンロードしたリードに、関連する分野のメールを送るなど、リードの関心に合わせる

属性情報
業界や企業規模といった切り口で、リード全体を分類する。「この業界・この立場であれば、こういう悩みを持っているだろう」という予測に基づいてシナリオを組む

行動情報起点のシナリオは、行動の直後に届くためタイミングを合わせやすいです。一方で、行動を起こすリードは多くないため、属性情報によるセグメントで、行動のないリードも含めて漏れなくフォローする必要があります。

シナリオ単体ではなく、事業戦略と紐づけて考える

シナリオは、届けるコンテンツがあってはじめて成立します。

事業戦略に沿った切り方をしていなければ、そのセグメントに合うコンテンツは用意できないため、セグメントの分解は事業戦略上のターゲットに準拠させる必要があります。

優先的にアプローチしたいターゲットから順にシナリオを作り、そこに合致しないリードは全体一律のシナリオでフォローする。こうした組み立てにすれば、最も成果を上げるべき領域にエネルギーを集中できます。優先順位を立てやすくなり、シナリオ設計のために新たに考えるべきことも減ります。

究極のナーチャリングは営業による個別フォローと心得る

システムでは実現できない個別性の高いナーチャリングを担えるのが、営業です。営業担当者が顧客の状況や悩みを直接聞き、それに合ったコンテンツやイベントを案内するコミュニケーションこそが、最も強力なナーチャリングとなります。

システムの限界を理解しておくと、システムに対する過度な期待がなくなります。「この会社から買う」という決め手になるコミュニケーションは営業が担い、そこに至るまでの接点をシステムが支える。この線引きを意識しながらシナリオを設計すると、システムが担うべき範囲を見極めやすくなります。

部門別のシナリオ設計

マーケティング部門と営業部門では、向き合う顧客の状態も、アプローチの方法も異なります。そのため、シナリオの設計も両部門で分けて考える必要があります。

マーケティング部門でのシナリオ設計

マーケティング部門のシナリオは、リード全体を漏れなくフォローする土台を作ったうえで、属性と行動の2つの切り口から関心・タイミングとの合致度を高めていく形で組み立てます。

  1. 全体配信のシナリオを用意する

  2. 優先度の高いターゲットについてシナリオを分けていく

  3. 行動情報を起点にしたシナリオで、興味関心に合わせてアプローチする

このように、属性起点の配信で全体をフォローしつつ、行動が起きたリードは興味関心に合わせたシナリオに切り替えていきます。

ただし、行動情報を起点にしたシナリオは、リードが動かなければ走りません。新しいブログや資料の公開をお知らせする単発メールを継続して配信し、動くきっかけそのものを作っておく必要があります。単発の配信とシナリオを掛け合わせて、はじめてこの3つが機能することは忘れないようにしましょう。

営業部門(IS・FS)でのシナリオ設計

営業の一番の強みは、顧客ごとにコミュニケーションを変えられる個別対応にあります。それを活かすために、営業部門のシナリオは、システムで自動配信するのではなく、営業担当者が取るべきコミュニケーション(送るべきコンテンツなど)をシステムがレコメンドする形で設計します。

【顧客ごとに適したコンテンツの例】

・「コストを払ってまで取り組むか」を決めきれていない顧客
よくある課題集、導入事例集など、取り組む価値を判断する材料になるコンテンツ

・発注の意向は固まっていて、社内の合意形成に情報が必要な顧客
競合他社との違いをまとめた資料、ROIの試算、セキュリティへの対応状況をまとめた資料、投資委員会で想定される質問への回答集など

「こんな資料が欲しい」と顧客からはっきり伝えてもらえるケースは多くありません。営業自身で顧客の検討がどこで止まっているかを察知し、先回りして動く必要があります。

また、営業の習熟度も担当者によって異なるため、資料の作成や先回りしたアプローチを個々の営業担当者の自発性に委ねるのは得策とはいえません。

売り手側であらかじめひな型を用意して個別に編集できる状態にしておき、「このステージに滞留している顧客には、このコンテンツを届けると次へ進みやすいのではないか」というレコメンドを、SFA/CRM上で営業担当者に提示する仕組みを実装します。

顧客は買いたがっている

ナーチャリングシナリオは、売り手から見ればステージの移行を後押しする設計であり、買い手から見れば課題解決のサポートです。

課題を解消して収益が上がる、あるいはコストが下がるのであれば、顧客は商品を買うことに前向きになります。ただ、その判断を組織として合意するための論理的根拠が足りていないケースは少なくありません。
根拠の提供まで含めてナーチャリングであり、それを全リードに対して漏れなく実行するための仕組みがシナリオです。

顧客の意思決定を支える意識でシナリオを設計・運用することにより、買い手と売り手、両方の事業成長につながるナーチャリング活動を目指しましょう。


グロースソイルは、ナーチャリングの戦略設計から、MA・CRMの実装、シナリオを支えるコンテンツ制作まで、BtoBのナーチャリングを一貫して支援しています。15分の無料相談を承っておりますので、「ちょっとした疑問を短い時間で解消したい」という方もぜひご連絡ください。

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この記事の執筆者

株式会社グロースソイル
代表取締役

髙橋 航平

Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客志向のナーチャリングを実装している。