トップ

/

コラム一覧

/

ナーチャリングを3つのレイヤーで捉えると、戦略と施策を紐づけられる

ナーチャリングを3つのレイヤーで捉えると、戦略と施策を紐づけられる

2026/09/10

「ナーチャリングに向けた施策の1つひとつが線でつながっておらず、それぞれ独立した取り組みになっている」というご相談をよくいただきます。

今月の商談が足りないからハウスリストにインサイドセールスで架電し、翌月はメルマガを大量に送り、その次はイベントのお知らせを流す、といったかたちで施策を実行している企業は少なくありません。

打ち手としてはそれぞれ成立していますが、施策同士が結びついていなければ、いくら数をこなしても成果はなかなか蓄積されないものです。

本記事では、こうした「場当たりナーチャリング」の状態に陥ってしまう原因や解決法について、グロースソイルで整理したナーチャリングの3つのレイヤーを使いながら解説します。

ナーチャリング無料相談に申し込む

ナーチャリングが場当たりになる原因は、共通認識の不在

ご相談をいただく企業に共通しているのは、ナーチャリングをどう位置づけるかの認識がそろっていないことです。

共通認識がないまま日々の活動を回せば、ナーチャリングは当然、場当たりになります。何を根拠に施策を選ぶのかが決まっていないので、判断の拠りどころがその月に足りていない数字だけになるからです。

こうした状況では、たとえばメールに反応してくれた人がいても、次の接点を用意していなければそこで途切れてしまい、翌月はまた商談が足りないところから施策を考え直すことになるといった弊害が生まれやすくなります。

共通認識を持ちにくい背景には、「成果の測りにくさ」がある

共通認識を持とうとしたときに、多くの企業が直面するのが「ナーチャリング活動の成果を評価できない」という問題です。

ナーチャリングは、あらゆるマーケティング活動のなかで最も俯瞰的な視点と中長期的な展望が必要なものだと私は考えています。

どれだけ評価が難しいのか、よりイメージを持ちやすくするために広告施策と比較しながら考えてみましょう。

たとえばSNS広告や検索広告、メディアへの有料出稿は、リード獲得数や商談件数が明確な数字として現れる性質上、成果を判断しやすく、全体の戦略がなくてもチャネル単位で改善サイクルを回していけます。

一方でナーチャリングは、マーケティング全体のプロセスを整理して実行していく活動なので、一部だけを切り出して「これがナーチャリングの成果」と評価できる性質のものではありません。測り方が定まらないものは、チームで共有する目標にもなりにくく、その成果の測りにくさそのものが共通認識を持ちにくい理由にもなっています。

ナーチャリングをリード獲得後だけで捉えると、短期の指標に縛られる

ナーチャリングは中長期で成果が出てくる活動のため、短期の指標とは相性がよくありません。

とはいえ、指標がなければ予算も取れず、何を目指すのかもチームに示せません。ただ、物差しがなければ動き出すこともできない。このようなジレンマが生まれやすくなります。

このジレンマから抜け出すためには、ナーチャリングをリード獲得後の商談化プロセスだけで捉えることをやめる必要があります。

ナーチャリングを突き詰めて考えていくと、影響する範囲はリード流入後だけにとどまりません。集客・育成・商談化といったマーケティング/セールス活動全体にナーチャリング思考を取り入れることで、真に成果を生み出すナーチャリング活動が可能になるのです。

ナーチャリング方針の土台になる、3つのレイヤー

「ナーチャリング」をBtoBマーケティング/セールス全体に組み込むには、考える手がかりが必要でしょう。これからナーチャリングを強化する方が思考しやすいよう、グロースソイルはナーチャリングを3つのレイヤーに分解しました。

ナーチャリングにおける3つのレイヤー

3つのレイヤーを頭の中に置いたうえで、各レイヤーの注力事項を決めていくと、BtoBマーケティング/セールス全体にナーチャリング思考を取り入れやすくなり、戦略と個々の施策が紐づきます。

それぞれのレイヤーについて詳しく見ていきましょう。

アンノウンナーチャリング:匿名状態での接点づくり

まだ誰なのかわからない相手との接点をつくり、育てていく活動です。ポッドキャストやSNSでの発信が、これに該当します。

このレイヤーから商談が生まれることもありますが、商談数を目標に据えるのは現実的ではありません。ファネルの手前側の活動を商談創出数で評価しようとすると、成果が出ていない活動に見えてしまいます。活動の進捗を測るのであれば、チャンネル登録者数やSNSのフォロワー数、インプレッション数といった指標を置くほうが実態に合います。

アンノウンナーチャリングに力を入れるタイミングは、事業の状況によって変わります。

立ち上げ期で短期的に収益機会を作らなければいけない状況であれば、予算と時間を大きく割くのは避けたほうがよいでしょう。
短期の商談数が一定の水準で読めるようになり、中長期の接点づくりにリソースを回せる余裕が出てきたら、本格的に取り組む段階だと思います。ハウスリストからの商談創出が頭打ちになり、新しい母集団を作る必要が出てきたときも、このレイヤーの強化を検討したいところです。

リードナーチャリング:1対Nでの関係構築

対象者の個人情報がわかった状態での1対Nのナーチャリングで、メールマガジンやイベントの案内が該当します。ナーチャリングという言葉で多くの方が思い浮かべるのは、このレイヤーではないかと思います。

アンノウンナーチャリングとの大きな違いは、誰がどのコンテンツに反応してくれたかを計測できることです。「誰が」「何に」「いつ」反応したかがわかるため、その後の自動シナリオやセールスによるフォロー(セールスナーチャリング)につなげやすくなります。

セールスナーチャリング:1対1での個別対応

インサイドセールスやフィールドセールスが、特定の相手に合わせて関係を深めていく活動です。商談数や受注で評価できるので、3つのなかでは成果が最も見えやすいレイヤーです。

セールスナーチャリングで大切なのは、売り込みではなく価値提供をすることです。買いたいと思っている顧客は、売り込みをしなくても買ってくれます。まだ買いたいと思っていない顧客に売り込みをすれば、その後の継続したコミュニケーションが取れなくなってしまいます。

そのため、いずれの場合でも価値提供に徹し、必要になったタイミングで声がかかるようなコミュニケーションを心掛けるのがおすすめです。

関連記事:インサイドセールスでナーチャリングの重要度が高まっている理由と、実践のポイント

一度決めた方針を維持するためのポイント

ナーチャリング方針が決まれば、あとは施策に落として実行していく段階です。ただ、選んだ施策が最初から思ったとおりの成果につながるとは限りません。

最後に、一度決めた方針をブレずに維持するためのポイントを解説します。

中長期の施策をやめないために、短期側で数字を作っておく

SNSのフォロワーが伸びない、目標に置いたKPIに届かないという時期は、どうしても出てくるものです。中長期の施策が伸び悩んでいる間も、PL目標の達成は毎月要求されます。足元の数字が足りなければハウスリストに架電しよう、メルマガを送ろうという話に戻り、成果が見えにくい中長期の施策から順に後回しになって、冒頭に挙げた場当たりの状態へ逆戻りしてしまいます。

そうならないためには、中長期的な成果を作る施策と短期的な成果を作る施策のバランスをあらかじめ決めておくことをおすすめします。中長期に2割、短期に8割という配分であれば、その8割で必要な商談数をきちんと作りきることが前提です。中長期の施策を続けられるかは、短期側の作り込みで決まると思っています。

たとえば、広告はかけたコストに対して得られるリターンが一次関数的に伸びるため、読みが大きく外れることは起こりづらいものです。対してYouTubeのチャンネル登録者数やSNSのフォロワー数は指数関数的に伸びる性質があり、立ち上がりがいつ来るのかを事前に読むことができません。

中長期の施策を続けるために、短期の施策で成果を出す

成長予測を立てにくい投資を続けるには、読みを立てやすい施策のほうで数字をつくっておく必要があります。短期の施策が、投資終了の圧力を受け止める防波堤の役割を果たしてくれます。

中長期のなかでも、続けるものと絞るものを決める

グロースソイルでは、中長期の施策を絶対に続けると決めて予算を確保しているものと、状況に応じて絞るものの2種類に分けて考えています。ポッドキャストは前者で「絶対にやめない」と決めている一方、記事発信は後者で、「毎週1本必ず出す」といった運用にはしていません。

リソースと予算が限られている以上、すべての施策に注力するのが難しい場面は出てきます。そのときは、重点施策をどこに寄せるかを決めるのが現実的です。

私たちの重点施策も、状況に応じて変えています。現在はポッドキャストや記事コンテンツといったオンラインのコンテンツに注力していますが、月に1度のイベント開催に力を入れていた時期もありました。
変えないものを守るには、変えてもよいものをあらかじめ決めておくことが大切なのかもしれません。

戦略を持てば、外部環境の変化に振り回されずに軌道修正できる

ナーチャリングを3つのレイヤーで整理しておくと、施策を選ぶときの迷いが減ります。今は売上が必要だからセールスナーチャリングを厚くする、ハウスリストからの商談が頭打ちだからアンノウンナーチャリングに手を入れる。自分たちの状況を俯瞰してレイヤー単位で判断できるようになるので、とにかく施策の数を増やさなければ、という方向にも流れにくくなります。

外部環境の変化への向き合い方も変わります。AIの進化のように、新しい手法が生まれたり、これまで有効とされていた手法の効果が落ちたりするといったことはこれからも起こり続けるはずです。方針がないと、そのたびに自社の状況とは関係のないところで判断が引っ張られますが、ナーチャリングを3つのレイヤーで捉えていれば、その変化が自社のどのレイヤーに関わるのかを見たうえで、何を変えて何を変えないかを決められます。

とはいえ、活動をどのレイヤーに寄せるべきかは企業によってケースバイケースです。ここまで読んでみたものの自社ではどう決めればいいかわからない、という方もいらっしゃると思います。

グロースソイルでは、ナーチャリングの無料相談を受け付けておりますので、お気軽にお申込みください。

ナーチャリング無料相談に申し込む


この記事の執筆者

株式会社グロースソイル
代表取締役

髙橋 航平

Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客志向のナーチャリングを実装している。