SEOを軸としないコンテンツマーケティングのあり方
2024/08/10
「コンテンツマーケティング ≒ SEO」と認識している人もいるほど、SEOはコンテンツマーケティングと密接な関係にある。しかし、SEOが目的化してしまうと、以下のような問題が起こる。
検索で上位表示されやすい、情報テンコ盛りのコンテンツを生み出してしまう
いわゆるSEOコンテンツしか生み出せず、1to1で顧客に紹介できるコンテンツがない
成果が出るまでに時間がかかり、積極的な投資に踏み切れない
コンテンツマーケティングに取り組むのであればSEOを中心に据える必要があるのかといえば、実はそうではない。SEOに注力せずとも継続的な成長を実現することはできる。
本稿では、SEOを軸としないコンテンツマーケティングの考え方について解説する。
BtoBマーケティングにおける”成果”とは
BtoBマーケティングの成果は、「収益への貢献」をもって評価すべきだ。ユーザー数やリード獲得数、MQL創出数といった指標は収益創出の前工程に過ぎない。ユーザー数が拡大していなくても、マーケティング経由の収益創出を実現できていれば問題ない。
コロナ禍をきっかけとして急速に進んだBtoB企業のマーケティング投資は、すでに4,5年目に差し掛かっている。はじめのうちは体制構築やユーザー獲得、リード獲得をもって評価されていたものが、次第に収益への貢献まで求められるようになっている。
グロースソイルがSEOに注力しない理由
グロースソイルはコンテンツマーケティングの支援会社でありながら、SEOには注力していない。企画に合った検索キーワードがあればタイトルに含める程度の対策はするが、キーワードを起点に企画することはない。あくまで顧客ニーズをもとにした企画が先にあり、SEOは後付けになる。
ここでは、グロースソイルがSEOに注力せずともコンテンツマーケティングに取り組んでいる理由を解説する。
コンテンツとしての面白さを蔑ろにしたくない
検索で見つけたブログに目を通し、こんな感想を抱いたことはあるだろうか。
「これは素晴らしいブログだ。みんなにシェアしたい!」
「こんなブログを出す会社なら、他にも色んなブログを読みたい!」
「こんなブログを出す会社に仕事を依頼したい!」
まったくないことはないだろうが、極めて稀なケースだろう。検索ボリュームが大きいキーワードになればなるほど、凡庸なブログが上位表示されていることが多い。

「コンテンツマーケティング」の検索結果
検索で上位表示するには、情報の網羅性が求められる。しかし、情報を網羅しようとすると、既存のコンテンツを組み合わせたような内容になってしまう。
グロースソイルでは、すでに世にある情報を複製しても、自社の利益にはなっても顧客の利益にはならないと判断した。
顧客が喜ぶテーマの検索ボリュームが大きいとは限らない
検索流入の拡大を目指すと、必然的に検索流入が大きいキーワードを狙うコンテンツを優先的に制作することになる。しかし、検索ボリュームが大きいキーワードで上位表示されるようなテーマのコンテンツが、顧客に喜ばれるものとは限らない。

顧客は「何となく問題意識を抱えていたけど、言語化できていなかったこと」を明らかにしてくれるコンテンツと出会ったとき、喜びを覚える。
「検索キーワードには表れないけれど、確かにそこに存在する顧客の悩み」に答えるコンテンツを作る方が、双方にとって価値があると考えている。
検索流入からのリード流入数は決して多くない
検索によってサイトに流入したユーザーは、何らかの知りたい情報があってサイトを訪れる。そのため、知りたい情報に辿り着ければその時点で離脱することが多い。
検索流入の大半はブログ記事であるが、ブログに訪問があってもリード獲得にはつながらない。リードを獲得するには、ホワイトペーパーやウェビナーなど、何らかのフォームに入力してもらう必要がある。
ブログを訪問し、その後何らかのフォームを通過する確率(CVR)は、これまでの経験上0.3 - 1.0%といったところだ。
この遷移率のチャネルに対して相応の労力をかけて強化するのは割に合わないと考えている。
(リソースが潤沢にあるならば、取り組む価値は十分ある)
そもそも勝てない
グロースソイルは「コンテンツマーケティング」という群雄割拠の領域でサービスを提供している。上位表示されているメディアの運営企業は皆コンテンツマーケティングやSEOのプロであり、盤石のSEOがおこなわれている。そのうえ、グロースソイルよりも格段にドメインパワーが強い。
後発かつドメインパワーが弱いグロースソイルがコンテンツマーケティングの領域で上位表示されるには、莫大な投資と長い時間がかかる。そのうえ、上位表示を維持するコストも高く、投資に見合わないと判断した。
この問題はグロースソイルに限らず、以下のような状況にある企業にも当てはまる可能性がある。
スタートアップ企業
新規性が低く、競合が多くいる企業
新規事業のため、別サイトを立ち上げている企業
短期での収益貢献を求められている企業
SEOを軸としないコンテンツマーケティングのあり方
SEOを軸としたコンテンツマーケティングは、ファネルの左端を「ユーザー」と捉えている。そのため、ユーザー数を拡大する手段として最も有力なSEOに尽力している。

しかし、Webサイトのユーザー数が増えればリード獲得数、ひいては受注数が増えるという理論については疑念が残る。
SEOを軸としないコンテンツマーケティングでは、ファネルの左端を「リード」と捉える。そのため、各種チャネルを活用し、リード獲得数の拡大を目指す。

このように、集客チャネルを複数用意することで、コンテンツの内容そのものでチャネルハックする必要がなくなる。「チャネルは使うもの」と考えると、まっすぐ顧客の方に向いたコンテンツを企画できるようになる。
SEOに注力せずにマーケティング成果を挙げるためにやるべきこと
SEOは様々な問題点はあるものの、安定してユーザーを獲得できるチャネルであることに変わりはない。SEOに注力しない以上、他の打ち手によってマーケティング成果を創出する必要がある。
ここでは、SEOに注力せずにマーケティング成果を挙げるためにやるべきことを5つ取り上げる。
価値あるコンテンツを生み出す
何より重要なことは、価値あるコンテンツを生み出すことだ。顧客とって価値あるコンテンツを生み出していることが、すべての始まりである。
顧客にとって価値があるコンテンツとは、大きく以下3つに分けられる。
当該領域に関する理解を深めるコンテンツ
顧客の課題言語化を支援するコンテンツ
サービス利用検討を支援するコンテンツ
いずれかに該当するようなコンテンツを定期的に生み出すことが求められる。
フォーム付きコンテンツの制作に注力する
前述の通り、SEOを軸としないのであれば、フォーム付きコンテンツへの流入をいかに生むかがカギとなる。フォーム付きコンテンツには、以下のようなものが挙げられる。
ホワイトペーパー
ウェビナー
オフラインイベント
これらのコンテンツを高い質を保ったうえでいかに多く生み出せるかが問われる。
質が高いコンテンツを安定して生み出すために、コンテンツをリサイクルすることを推奨している。原液となるコンテンツを生み出し、ほかのコンテンツへと転用することで、コンテンツの量と質を両立できる。

関連記事:限られたリソースを有効活用するコンテンツリサイクルの型
他社との連携を強化する
コンテンツ発信を自社単体でおこなっても、過去に接点がある人にしか届かない場合がある。新規リード獲得数を担保するために、他社との連携を強化するのが良い。
他社との連携施策としては、以下のようなものが挙げられる。
共催ウェビナー
ホワイトペーパーの共同制作
リードシェア(互いのコンテンツをハウスリストに案内する)
他社との連携を強化するには、近しい業界のマーケターと繋がる場に足を運び続けるのが良い。フォーム営業では繋がれなくても、対面で会うとすぐに話がまとまることはある。

先日開催した共催ウェビナーでは100件のリードを獲得した
SNSや外部メディアなど、検索以外のチャネルを強化する
検索流入という安定してユーザー獲得を見込めるチャネルを強化しないのであれば、代わりとなる別のチャネルを強化する必要がある。
BtoB企業において有力なチャネルの例は以下の通り。
SNS
X(Twitter)
Facebook
Linkedin
オンライン広告
Facebook広告
Instagram広告
Google広告
Yahoo!広告
外部メディア
各種キュレーションメディア
各種資料請求サイト
取り上げたチャネルのすべてに取り組む必要はない。安定して新規リードを獲得できるよう、自社のリソースを適切に配分して取り組むと良い。
検索エンジンはひとつのチャネルに過ぎない
「コンテンツマーケティング ≒ SEO」といった語られ方をすることも多いが、検索エンジンは数あるチャネルのひとつであり、コンテンツマーケティングの主体ではない。あくまで顧客にとって価値あるコンテンツを生み出すことが上位にあり、届けるためのチャネルはその下位にある。
チャネルハックのためにコンテンツの内容を左右されては元も子もない。何よりまず顧客価値を最優先し、質の高いコンテンツを生み出すことに集中しよう。
この記事の執筆者
株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客指向のナーチャリングを実装している。


