リードが少ない時期から「ナーチャリング思考」を身につけておくべき理由
2026/08/26
まだハウスリストが少ないから、まずはリード獲得に注力し、ナーチャリングは追々取り組もう。
これはBtoBマーケティングの現場ではよくある方針であり、予算配分の判断としては間違ってはいません。リードがある程度貯まるまでの間は獲得に軸足を置くのは自然な選択ともいえます。
ただ、予算を割いてナーチャリングに本腰を入れるのを無理に急ぐ必要はないとはいえ、ナーチャリングについて考えることまで後回しにすると、取り返しがつかなくなることもあります。
本記事では、リードが少ない時期にも必要な「ナーチャリング思考」について、なぜ早く身につけておくべきなのかも含めて解説します。
「ナーチャリングはリードが貯まってから」の落とし穴
冒頭でも触れた通り、「リードが5,000件貯まったらナーチャリングを強化する」といった方針を立てている会社は少なくなく、それ自体は悪いことであるとは思いません。
しかし、リードを貯めている間にも、そのリードは古くなっていくことに注意が必要です。
リードが5,000件に達したとき、そのリストの中には2年前に獲得したまま放置されているリードも混じっています。時間が経てば、リードの関心が獲得直後より低くなります。異動や退職でメールアドレスそのものが無効になることもあり、再び接点を持つ難易度は上がっていきます。実際、BtoBの顧客データは月あたり約2.1%の割合で劣化していくとされています。
(MarketingSherpa調査、HubSpot「Database Decay Simulation」より)
つまり、リストを放っておくだけで、発信が届く相手も、届いたときに反応してくれる相手も減っていくのです。
裏を返せば、リードが最も反応しやすいのは、接点を持った直後ということになります。
実際、商談化したリードを見返すと、「これだけ大量のハウスリストがあるのに、直近60日以内に入ったリードからの商談が多い」というのは、よくある話です。
ここに「貯まってから」の落とし穴があります。リードが5,000件に達するのを待つ間、シナリオも設計せず、何のコミュニケーションも取らずにいると、その一件一件の旬を、みすみす逃すことになるのです。
資産だと思って貯めてきたハウスリストは、実は資産になっていなかった。件数は増えていても、その多くはすでに反応しなくなっていて、実際にメッセージが届く相手は見た目の件数より少ない。こうした状態に陥っている企業は少なくありません。

そもそも「ナーチャリング思考」とは何か
ナーチャリング思考を後回しにすべきではないとお伝えしてきましたが、そもそも「ナーチャリング思考」とは何を指すのでしょうか。
一言で言えば、次のとおりになると私は考えています。
自社がどのカテゴリーでナンバーワンだと思われたいのかを定め、そのために必要なコンテンツを生み出し、届け続ける。
ナーチャリングに本腰を入れる前に整えておくべき下準備は、大きく分けて二段階あります。
自社がどの領域で第一想起を取りにいくのかを決める
そのポジションを築くためのコンテンツを作り、発信し続ける
この一連の動きが必要であることを理解し、実際に手を動かしていくことが、ナーチャリング思考の実践です。

さて、「カテゴリーを定める」というと顧客のセグメンテーションを思い浮かべるかもしれませんが、ここで述べているのは対象者の属性の話ではありません。「どんな課題を解決する会社として認識されたいか」という、課題ベースの旗の立て方です。
たとえばグロースソイルは「ナーチャリング」というカテゴリーを掲げ、あらゆるチャネルで発信し続けています。その結果、私たちを知ってくださっている方には「ナーチャリングといえば」で思い出してもらえる。この状態を作ることが、ナーチャリング思考の実践です。
カテゴリーを決めないと、発信そのものがブレる
カテゴリーが定まっていないと、発信の内容はあちこちに散らばります。今日はコンテンツマーケティングの話、明日は広告運用の話、その次はBtoB全般の話。一つひとつは有益でも、情報の受け手は「結局、何の会社なんだろう」と混乱してしまいます。
「いろいろ発信している会社」と思ってもらえればまだいい方で、多くの場合、軸のない発信は記憶に残らず、そもそも認識すらされません。
だからこそ、自社がどのカテゴリーで役に立つのかを定め、コンテンツを発信し続けることが欠かせないのです。
思考は初期から、システムは後から
ここまで読んで、「やっぱり最初からナーチャリングに全力投球すべきなのか」と感じたかもしれませんが、初期からやるべきことと、後回しでいいことは、はっきり分かれています。
初期から取り組んでほしいのは、カテゴリーを決め、コンテンツを作り、発信すること。反対に、MA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客管理システム)を導入してシステマティックに運用するような仕組みは、急いで整える必要はありません。

システムの検討に費やす時間は、顧客に何のメッセージも届けていない時間でもあります。立ち上げ期にツールの設計や予算に労力を割くと、肝心の事業が前に進みません。コンテンツがコミュニケーションそのものだとすれば、システムはそのコミュニケーションを増幅し、効率化するための道具です。順番を間違えて道具から入ると、本末転倒になりかねません。
では、システム導入はいつ検討すべきなのでしょうか。費用対効果が見合い始めるのは、感覚値としてリードが5,000件を超えたあたりからですが、これは一概には言えません。
判断を左右するのは、むしろ営業組織の規模です。営業担当が10人以上いるなら、行動管理や進捗の可視化のためにデータを集約する必要が出てくるので、導入する意味があります。反対に少人数であれば、見込みの高いリードを検知して優先的にアプローチするために導入するという判断もありえます。大きいから要る場合も、小さいから要る場合もあるので、ここはケースバイケースです。
ただ、繰り返しにはなりますが、コンテンツだけはリードが入ってきた瞬間から考えるべきもので、組織の人数もタイミングも関係ありません。
リードの多寡は、始めない理由にならない
「リードが少ないうちは、ナーチャリングを考えなくていい」。この誤解は、ナーチャリングを「MAを運用すること」とほぼ同義に捉えていたことから生まれています。確かに、ツールの運用としてのナーチャリングは、対象となるリードがある程度いなければ機能しません。
一方で、ナーチャリングを「顧客とのコミュニケーション」と捉え直すと、話は変わります。リードの数が少ないうちから取り組まなければ、いざリードが増えたときにそれまでの営みが何も残らないのです。
かつては、広告でリードを獲得して商談化するといったように、「獲得のことだけ考えていればいい」時代がありました。しかしウェブ広告を取り巻く環境が変わり、獲得フェーズに力を入れるだけでは費用対効果が合わなくなりつつある今、早い段階からナーチャリングを意識する重要性は増しています。
その出発点として、まずはリードの多寡にかかわらず「ナーチャリング思考」を持っておくことをおすすめします。
グロースソイルは、BtoBのナーチャリングを戦略からコンテンツ制作、システム基盤の構築まで一貫して支援しています。
15分間の無料相談を受け付けていますので、「ナーチャリングについてのちょっとした疑問を解消したい」という方は、ぜひご相談ください。
この記事の執筆者

株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客志向のナーチャリングを実装している。



