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ナーチャリングメールを「顧客育成」の手段と捉えるのはNG|成果を出す4原則と設計の考え方

ナーチャリングメールを「顧客育成」の手段と捉えるのはNG|成果を出す4原則と設計の考え方

2026/08/27

メールの開封率やクリック率が伸びない。
件名や配信頻度を調整するも、成果につながる打ち手が見えない。
MAでシナリオを組んだものの、行動に応じた分岐や改善ができず、運用が止まってしまっている。

こうしたお悩みを抱える方は少なくありません。

商談を生み出すナーチャリングメールを配信するためには、細かい運用方法や表現を変えるより先に、「何のためにナーチャリングメールを送るのか」から考える必要があります。

本記事では、ナーチャリングメールの目的の整理から始めて、成果を出すための原則や種類別の設計のポイントを解説します。

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ナーチャリングメールは「読まれない」前提で考える

ナーチャリングメールを改善しようとするとき、件名を工夫したり、配信の順番やメール内の導線を見直したりする方は多いでしょう。しかし、それでは成果はほとんど変わりません。

マーケティングDXの実績で知られる株式会社WACULの調査によれば、メールの開封率は20%、クリック率は1%程度だといいます。つまり、ナーチャリングメールは読まれていないものであり、配信順や細部の導線だけ工夫しても、読者に気づいてすらもらえないのが実情です。

BtoBマーケティングで権威と目される株式会社才流の代表取締役 栗原康太氏も、自身のブログで次のように書いています。

自分たちがAppleやMicrosoft、Googleだったり、嵐やノラ・ジョーンズ、ドナルド・トランプなら、自社が発信するコンテンツやリリースなどの一挙手一投足に注目してくれるかもしれませんが、残念ながら、ほとんどの会社は(もちろん当社も含め)顧客や市場からそこまでの注意を払ってもらえません。
その中で「コンテンツを見てもらえる前提」、「プレスリリースをメディアに取り上げてもらえる前提」、「発行したメールマガジンを開封し、読んでもらえる前提」で思考がスタートしていると、市場や顧客から大きなしっぺ返し(正確には壮大なスルー)を食らうことになります。

出典:誰も君のコンテンツなんか見てない。 1203

このように、読まれないのが当たり前の状況でメールを成果につなげるためには、そもそもナーチャリングメールをなぜ送るのか、その目的から考え直す必要があります。

ナーチャリングメールを「顧客育成」の手段と捉えてはいけない

「ナーチャリング(nurturing)」は直訳すると「育成」です。

ただし、文字通り「何も知らないお客様を育てる」と捉えて取り組むと、「自分たちのメールは全部読まれてしかるべきだ」「導線を引けば、その通りに進んでくれるはずだ」といったように、無意識のうちに送り手都合のスタンスに陥りがちです。
実際には、顧客は顧客の都合で動いており、検討がいつ始まるかも、どの情報を先に見るかも、売り手には決められません

また、インターネット上のコンテンツが充実し、AIでの情報収集も容易になった昨今、売り手と買い手が持つ情報の非対称性は年々縮まっています。顧客は必要なソリューションについて「断片的に知っているが、意思決定するための判断材料がほしい」といった心境で情報収集をしているケースが少なくありません。

このような状況のお客様に「必要な情報を提供してあげる」という姿勢で臨んだメールは、ほとんど読まれないでしょう。あからさまに上から目線の文体にならないとしても、お客様を「育成する対象」であると捉えるスタンスは文面ににじみ出てしまうものだからです。

ナーチャリングメールは顧客を育成するものではない

BtoBマーケティングでは、顧客の意思決定までに時間がかかる

ここまで、ナーチャリングを「顧客育成」と捉えることの問題点を述べてきました。それでは、ナーチャリングメールは何のために送るのか。

グロースソイルでは、「お客様がこちらを向く瞬間」をつくり、その瞬間に次の会話へ進めることこそがメールが担う役割だと考えています

購買に向けた顧客の意思決定のプロセスには、以下それぞれのフェーズでタイムラグが存在します。

  • 顧客が悩んでから課題を認識するまで

  • 課題を認識してから「コストを支払っても解決すべき」と考えるまで

  • 組織として課題解決に乗り出すまで

顧客の意思決定には、フェーズごとにタイムラグがある

このタイムラグの長さも、どんなきっかけで次のフェーズに移るのか(あるいは、移らないのか)も、売り手側にはコントロールできません。前述の通り、顧客は顧客の都合で、売り手の思惑とは関係なく行動しているからです。

行動変容のタイミングが読めないなかで購買を意識してもらうためには、顧客の視界に入り続け、必要なタイミングで思い出してもらうことが欠かせません。だからこそ、ナーチャリングメールで顧客にとって有益な情報を届け、信頼を積み重ねていく必要があるのです。

読まれるナーチャリングメールに共通する、4つの原則

「メールの多くは読まれない」が常識となった今、それでも読まれ、CVにつながるメールにはどのような特徴があるのでしょうか。

ここでは、読まれるナーチャリングメールに共通する4つの原則を解説します。

読まれるナーチャリングメールに共通する4つの原則

一貫した発信(テーマ、スタンス)

発信テーマがブレると、読者は「この人は何をしている人なのか」がわからなくなり、開封の動機が薄まります。ただでさえ大半のメールは開かれないのに、雑多な内容を送れば、何の会社なのかいつまでも覚えてもらえません。 

反対に、「この人はいつも〇〇の話をしている」と受け手が認知すれば、メールは読まれるようになります。テーマを決めて配信し続けることで、「〇〇といえばあの会社」と想起してもらえる存在になれるのです。

実例として、グロースソイルのメールマガジンは、テーマを「ナーチャリング」に絞っています。発信の中身すべてを把握している人はほぼゼロでしょう。それでも「グロースソイル=ナーチャリングの会社」というイメージは多くのお客様に持っていただいているはずです。

読むに値する人物という認識(権威性)

AIによって“それらしい文章”が無限に量産される時代だからこそ、「誰から来たメールか」が開封率やクリック率を左右します。

権威性といっても、「業界ナンバーワン」のような称号や肩書きが要るわけではありません。日頃の発信を通じて「この人の情報は役に立つ」と読み手に感じてもらえれば、 メールも徐々に読んでもらえるようになります。

実際にグロースソイルでも、ポッドキャストやオフラインイベントなどを通じて一次情報を日頃から届けることで、「ナーチャリングについてはグロースソイルの髙橋さんに相談したい」と思っていただける状態をつくることを目指しています。

関心との合致

どんなに質の高い内容でも、受け手の関心・状況とズレた内容は読まれません。

たとえば同じ「ナーチャリング」をテーマにしたメールでも、「コンテンツの作り方がわからない」「目先の商談をつくれと言われて困っている」など、読者の課題によって読みたい内容は変わります。

おすすめは実際にお客様から聞いた相談を起点にテーマを考えることです。主に、次の2つを基準に配信の優先度を考えるとよいでしょう。

相談される頻度
多くのお客様が解決したいと思っている

悩みの深さ
一度の質疑で終わらず、深掘りの質問や再相談が来る

特に、実際に購買につながった顧客の相談内容は、見込み客からも強いニーズがある可能性が高いと考えられます。「最近受注した企業が何に悩んでいたか」を整理してみるだけでも、価値のあるテーマは見えてくるはずです。

タイミング

ナーチャリングメールが最も反応を得やすいのは、「ちょうどそのことを考えているとき」に届いた場合です。資料をダウンロードした当日、展示会やセミナーに参加した翌日など、お客様のアクション直後に送るメールは、開封にもその先の行動にもつながりやすくなります。

ただし、アクションが起きるのを待っているだけでは、その瞬間はいつまでも訪れません。後述するシナリオメールなどで、平時からアクションが生まれる確率を高める仕込みが必要です。

ナーチャリングメールの種類別のポイント

ここまで解説した4つの原則を実際の配信に落とし込むには、メールの「型」を押さえておく必要があります。

ナーチャリングメールは、大きく単発メール・シナリオメール・ステップメールの3種類に分けられます。ここからは、それぞれの定義と、運用のポイントを解説します。

ナーチャリングメールの使い分け

単発メール(メールマガジン)

単発メールとは、シナリオのような自動配信の仕組みに載せず、伝えたいことがあるたびに1通ずつ送るメールです。新しいコンテンツ公開の案内、セミナーの告知、書き手の考えを綴った読み物などが該当します。

単発メールは、つい送り手都合の“お知らせ”だけになりがちです。 ホワイトペーパーを公開しました、イベントを開催します……多くの会社のメルマガは、こういった「企業が伝えたいことを伝える」内容となっています。

しかしお客様が欲しいのはお知らせではなく、役に立つ情報そのものです。欲していないタイミングで“チラシ”を送り続ければ、お客様からの心証が悪化し、いざ買いたくなったときに指名してもらえない可能性が高まります。

もちろん、自社のコンテンツを届けるためのお知らせは必要です。ポイントは、告知だけのメールを避け、メール単体でもお客様にとって有益な内容になるよう作り込むことです。

たとえばセミナー告知なら「市場にはこんな課題があり、当社としては、こうすれば解決できると考えています。この話題について詳しく解説するイベントを開催します」というかたちにすれば、お客様にお役立ち情報を届けながらイベントにも誘導できます。

シナリオメール(属性セグメントに常時配信する)

シナリオメールとは、特定のセグメントのリードに対して、配信が途切れないよう常時送り続けるメールです。

最初に目指すのは、全リードをくまなくフォローし続けられる状態です。まず全リード向けのシナリオを1本用意し、それが途切れないレベルまでコンテンツを蓄積していきます。

コンテンツ量を確保するために有効なのが、単発メールのストック化です。単発メールで送った良質なコンテンツを、必要に応じて修正し、シナリオにも組み込んでいく。こうすれば、毎回一からコンテンツを作成することなく、力作を継続的に届けられる体制ができます。

ステップメール(アクションを起点に順番に送る)

ステップメールとは、フォーム送信・資料ダウンロード・イベント申込などのアクションを起点に、あらかじめ決めた順番で複数通を送るメールです。

注意点として、常時配信のシナリオメールで事足りるケースでステップメールを作成すると、不要な工数の増加につながります。

例として、展示会の後、名刺交換した相手に3通のメールを順番に送るといった運用がよく見られます。しかし、どのリードにも同じ ホワイトペーパーを流すだけなら、定期配信のシナリオメールで内包できるはずです。

イレギュラーな工数をかけてステップメールをつくるべきかは、次の2つの軸から判断するとよいでしょう。

  • そのメールはシナリオで内包できないか

  • 適切なステップを賄うだけのコンテンツがあるか(または、用意できるか)

施策を実施することが目的になり、必要のない業務が生まれないように注意しましょう。

ナーチャリングメールのセグメントはどう設定するべきか

単発メールもシナリオメールも、関心の近い顧客に届けるには、セグメントをどう分けるかが重要になります。

最後に、運用負荷とのバランスをとりながら、適切なセグメントを設定するためのポイントを解説します。

セグメントの2つの切り口

企業属性で切る|「何に悩むか」は業界によって変わる

セグメントを分ける目的は、顧客の関心に合ったコンテンツを届けることにあります。そして「何に悩んでいるか」は企業属性によって変わるため、切り口は企業属性に基づいて決めるのが合理的といえます。たとえば「ナーチャリング」をテーマに配信する場合は、「製造業のナーチャリング」などのように業界ごとに分解する方針が考えられます。

「過去に商談した企業向け」のように、顧客の行動基準で分解したいというご相談をいただくこともありますが、運用が複雑になる割に効果が出づらいため、よほどリードが多い企業でない限りはおすすめしません。

行動情報で切る|反応をもとに、より関心に近いコンテンツを届ける

もう1つの切り口が、顧客の行動情報です。どの資料やページに反応したかをトリガーに、そのテーマに近い情報を続けて届けていきます。具体的には、自社が複数の業務効率化SaaSを提供しているとして、労務DXに関する資料をダウンロードした企業に労務関係のコンテンツを続けて配信するといった方針が考えられます。

実際の反応を起点にするため、関心との合致の精度は企業属性より高くなります。一方で、行動データが蓄積されたリードにしか適用できず、シナリオも細かくなりやすいため、運用が複雑になる割に効果が出づらいケースもあります。リードが十分に多く、行動データが溜まっている企業向けの切り口と捉えるとよいでしょう。

セグメントを分けるタイミングは、コンテンツ生産体制から考える

自社の状況に合わせて、セグメントをいつから分けるべきか。リードの数はもちろん考慮すべきですが、もう1つ重要な論点として、自社のコンテンツ生産体制、すなわち「セグメントを分けたうえで十分なコンテンツを生産できるか」も考える必要があります。

月1本しかコンテンツを出せないのにセグメントを3つに切れば、各セグメントには3ヶ月に1回しか届けられず、ほとんど効果を生まなくなります。

事業規模が一定以上に達した後は、関心に合った配信を実現するために、セグメントの分解が欠かせません。しかし、運用負荷がそのメリットを上回らないように注意しましょう。

ナーチャリングメールの質はコンテンツで決まる

ここまで原則や種類、セグメントの分け方を解説してきました。ただ、こうした工夫が報われるのは、土台となるコンテンツの質があってこそです。形式や導線に頭を悩ませるより、まずはコンテンツを磨くことが、結果として開封率やクリック率の改善につながります。

顧客の悩みをもとに、自社にしか出せない一次情報を蓄え、届け続ける。地道な活動にはなりますが、顧客の役に立つコンテンツを提供し続けることで、「必要なときに問い合わせてもらえる」状態につながります。


グロースソイルは、BtoBのナーチャリングを戦略からコンテンツ制作、システム基盤の構築まで一貫して支援しています。

15分間の無料相談を受け付けていますので、「ナーチャリングについてのちょっとした疑問を解消したい」という方は、ぜひご相談ください。

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この記事の執筆者

株式会社グロースソイル
代表取締役

髙橋 航平

Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客志向のナーチャリングを実装している。