AI時代のメールマーケティングで大切な3つのこと
2026/04/28
AIの普及により、メールを量産することの難易度は著しく下がりました。ツールにテンプレートを入力すれば、それなりの文章が数秒で出てくる。BtoBマーケティングへの参入企業も増え続けており、見込み客のメールボックスはさまざまな会社からのメルマガであふれています。
この状況でメールマーケティングを機能させるために何が必要か。グロースソイルの実践から導いた3つの視点をお伝えします。
前提:リード獲得は「何でも連絡して良い権利の獲得」ではない
メールアドレスを取得した瞬間に、「この人たちに何でも連絡していい権利を得た」と捉えている会社は少なくありません。そう考えているからこそ、ウェビナーのお知らせ、ブログ更新の告知、新サービスの案内、といった「お知らせ」を延々と続けてしまいます。
ただし、リストに入っている人たちは自分が誰かの「ハウスリスト」に属しているとは思っていません。ただ、メルマガが届くというだけ。送る側が「うちのリードだ」と認識していても、受け取る側にその意識はありません。
メールアドレスを預かっているのは、「何でも連絡していい権利を得た」状態ではなく、「連絡できる状態になった」にすぎません。この認識の違いが、メールマーケティングへの向き合い方を変えます。
連絡できる状態になったからこそ、今後も役に立つためにどんな情報を届けるべきかを考える。そのスタンスがあってこそ、メールマーケティングの改善が動きます。お知らせを送ることが目的ではなく、届けた情報によって相手の課題が少しでも解消されることを目的とすると、送る内容も自ずと変わってきます。
AI時代のメールマーケティングで大切な3つのこと
AI時代のメールマーケティングでは、以下3つが重要であると考えています。
独自であること
関心に合っていること
人となりが見えること
① 独自であること
一次情報こそが独自性の源泉
AIがどれほど進化しても、自社でしか持っていない情報は存在します。顧客との会話の中で出てきた課題感、支援を通じて見えてきた成功パターン、担当者が実際に体験した出来事。こうした一次情報は、他の会社が同じように出すことができません。
一次情報を含んだコンテンツは、その内容自体に独自性があります。
「この会社のメールには自分では手に入らない情報がある」と思ってもらえるかどうかが、開封率やクリック率に直結します。
一次情報をもとにAIを使う
「AIでメールを書くと独自性がなくなる」と言われることがありますが、これは正確ではありません。
プレーンなAIに「メルマガを書いて」と指示すれば、確かに汎用的な内容になります。ただし、自社の一次情報をコンテキストとしてインプットした上でAIを使えば、独自性は担保できます。
AIはあくまで優れた道具です。一次情報という素材があれば、その道具を活かせます。一次情報がないままAIを使っても、他社が同じツールで出してくる内容と区別がつかないものになるだけです。まず一次情報を集め、それをもとにAIを活用する。この順序を守ることで、AIは「独自性を担保しながら活動を拡張する武器」になります。
事業ポジショニングが曖昧だと、一次情報も埋もれる
一次情報があっても、事業自体がコモディティ化された領域にいて、かつ自社のポジショニングが明確でないと、どこも似たような情報を出していることになり、結果として読まれづらくなります。
「自社は他社と何が違うのか」が社内でも曖昧な状態では、どれだけメールの書き方を工夫しても、コンテンツに特徴が出ません。メール担当者はメールの範囲内で完結しようとせず、自社の事業ポジショニングを把握しにいく必要があります。チーム内で明確になっていなければ、上の人に聞きに行く。そもそも社内で明確になっていなければ、整理に自身が関わる。そうした動きが、メールマーケティングの成果につながっていきます。
② 関心に合っていること
問題は頻度ではない
「メルマガがうざいのは、頻度が多いからではなく、要らないからである」と私は考えています。
月2回なら許容される、週1回が適切、といった議論が現場ではよく出てきます。ただし、自社の配信頻度をコントロールしたところで、受け取る側のメールボックスに届くメルマガの総量はほとんど変わりません。
顧客から見れば、自分の関心に合ったメールはお役立ち情報で、そうでない情報はノイズです。そこに頻度は関係ありません。
「何回送るか」ではなく「何を送るか」に集中する方が重要だと考えています。
顧客の悩みから逆算してコンテンツを作る
顧客が実際に口にした悩みを起点にコンテンツを作ると、結果として関心に合ったものになりやすくなります。一人が痛烈に感じている悩みは、他の人も同じように悩んでいる可能性が高いからです。
SEO起点で作られた辞書的な記事を送っても、読者がその内容を調べたいタイミングでなければ意味をなしません。届けるべきは「この会社は自分の課題をわかっている」と感じてもらえる内容のコンテンツです。
「顧客の役に立つコンテンツができたら、それを届ける」という単純な行動を回し続けることに勝るものはありません。
顧客の行動ステージに応じてコンテンツを使い分ける
どれだけ良いコンテンツを作っても、受け取る側の検討フェーズに合っていなければ反応は薄くなります。アクションナーチャリングの考え方では、スコアリングに頼らず、顧客が実際に取った行動でステージを判断します。
※「アクションナーチャリング」はグロースソイルが独自に開発した理論で、現在商標申請中です
たとえば、ナレッジ系のコンテンツに反応している段階の人と、サービスページや事例を見ている段階の人では、次に届けるべき内容は異なります。前者にはより理解を深めてもらうためのノウハウが、後者には意思決定を後押しする事例や比較情報が有効です。
顧客の行動レベルに応じてメールの内容を切り替えることで、「ちょうどそれが欲しかった」と感じてもらえる確率が上がります。
③ 人となりが見えること
エバンジェリスト活動が権威の土台をつくる
メールマーケティングを機能させる前提として、会社名ではなく個人の名前で認知を取ることが重要です。SNS、ブログ、イベント登壇、ポッドキャスト、YouTubeなど、複数のチャネルで専門的な情報を発信し続けることで、「この人の話は信頼できる」という認識が積み上がっていきます。
このような活動をする人をエバンジェリストと呼びます。エバンジェリスト活動がうまく機能している状態のバロメーターのひとつとして、会社への問い合わせはもちろん、個人に対しても直接相談が来ることが増えていきます。
権威ある人がメールでパーソナルな側面を届ける
外部のチャネルで専門的な情報を発信している人が、メールでは別の側面を見せることができます。イベント登壇やSNS投稿では伝えきれない日常的なエピソードや、思考の過程をメールで届けることで、「このメールを読むと違う側面が見える」という体験が生まれます。
外のチャネルで権威を持った人が、メールを通じてより親近感のあるコミュニケーションを届ける。この組み合わせが、「また読みたい」「相談したい」という状態をつくります。
「髙橋の徒然草」という実践例
グロースソイルでは「髙橋の徒然草」というタイトルで、代表・髙橋個人名義のメルマガを配信しています。
髙橋の徒然草では、「ラーメン屋で飛び込み営業を目撃した」というような日常の出来事と、ナーチャリングというテーマを紐づけてお届けしています。体験をゆるく切り取り、自社の専門領域につなげるという構成で作っています。
結果として、他の案内メールよりもクリック率が2倍以上になることもあり、返信が届くことも増えてきました。また、配信1本目から、大企業担当者が無料相談に申し込むという反応もありました。
役に立つ情報を届けるコンテンツと、距離を縮めるパーソナルな発信。この2種類を両立させるのがおすすめです。
まとめ
AI時代のメールマーケティングで成果を分けるのは、独自性・関心への一致・人となりの見えやすさの3つ。
送る量や頻度を最適化しても、この3つが伴っていなければ状況は変わりません。逆に言えば、この3点が揃ったメールは、ノイズの多い時代でも読まれるようになるでしょう。
とはいえ弊社も濁流のようにメルマガが押し寄せる環境下で配信しているので、今回解説した内容を続けるだけではいずれ成果が落ちていくでしょう。メルマガに限らず、ナーチャリング活動は改善あるのみです。
グロースソイルでは、ナーチャリングの無料相談を受け付けております。お気軽にお申込ください。
この記事の執筆者
株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
大学卒業後、新卒で人材系ベンチャー企業のネオキャリアに入社。マーケティング本部にて、新規BtoBメディア事業の立ち上げを経験。 その後、MAの導入活用支援会社に転職し、コンテンツ編集長として自社マーケティングと新規顧客開拓を推進。
2024年1月、株式会社グロースソイルを創業。BtoB企業のナーチャリング課題を解消できる会社づくりに取り組む。


