商談につながるナーチャリングコンテンツのつくり方
2025/07/01
近年、「リード獲得まではできているものの、その後商談につながらない」といった悩みを抱える企業が多くなっています。
見込み顧客との関係を深めていくプロセスが「ナーチャリング」であるとすると、その関係構築には顧客の悩みに寄り添った「ナーチャリングコンテンツ」の存在が本来欠かせません。しかし現実には、ナーチャリングを目的としたコンテンツが用意されておらず、「SEO記事をメルマガで送る」といった運用にとどまり、ナーチャリングが仕組みとして整っていない企業も少なくありません。ナーチャリングの基盤をつくるには、システムの構築だけでなく、ナーチャリングに効くコンテンツを生み出すことが重要です。
本記事では、「商談につながるナーチャリングコンテンツとは何か?」という問いを起点に、企画・制作・活用の具体的なポイントを解説します。
- 「ナーチャリングコンテンツ」とは
- 世のコンテンツの大半は「集客」を目的として制作されている
- ナーチャリングのために送られているコンテンツの実態
- 単発のイベント告知、SEO記事やホワイトペーパーの定期配信が多い
- 顧客の課題に踏み込めておらず、行動変容につながらない
- 商談につながるナーチャリングコンテンツの企画プロセス
- 1. 顧客の悩みを洗い出す
- 2. 購買につながりやすい悩みを見極める
- 3. 「悩み → 解決策 → 自社サービス」の構成を意識して企画書を作成する
- ナレッジの深さが、ナーチャリングコンテンツの質を決める
- 社内ナレッジをコンテンツに落とし込む方法
- パターン1:事業部に記事を書いてもらう
- パターン2:インタビューで知見を引き出す
- 知見を引き出すインタビューのコツ
- 気持ちよく話してもらう
- 遠慮しない。深掘りを恐れない
- 話を遮らず、脱線も歓迎する
- ナーチャリングコンテンツを活用するには
- メルマガで配信する
- インサイドセールス(IS)と連携する
- 広告活用する
- ナーチャリングが仕組み化されると、マーケティングの自由度が増す
「ナーチャリングコンテンツ」とは
ナーチャリングコンテンツは、すでに接点のある見込み顧客(リード)と中長期で関係をつくり、商談につなげていくことを目的としたコンテンツです。
SEO記事のように検索ニーズを起点にするのではなく、”顧客の悩み”を起点として解決方法を解説することで、自然にサービスの利用を促すことができます。
世のコンテンツの大半は「集客」を目的として制作されている
多くの企業にとって、コンテンツは今なお「集客のためのもの」という認識にとどまっています。
その背景には、「コンテンツ“で”集客する」という考えがあります。これは、コンテンツマーケティングにまつわる情報の多くがSEOの支援会社から発信されてきたことに起因しています。「キーワードをもとに記事をつくれば検索上位に記事が掲載されて人が集まり、商談につながる」といった図式が、長く信じられてきました。
検索という行為は「調べもの」には適していますが、「言語化できていないけど確かにある課題の解決方法を知りたい」という状態では、アクションを起こしづらいという難点があります。Webサイトのユーザーを増やすことではなく、購買を喚起することを目的として発信するのであれば、“顧客の課題”の解消方法を解説したコンテンツを発信すべきでしょう。
つまり、マーケティングの投資を実益につなげていくためには、顧客課題の解消方法を解説するナーチャリングコンテンツの発信に力を入れる必要があるのです。
ナーチャリングのために送られているコンテンツの実態
多くの企業がナーチャリング施策として配信しているコンテンツを見てみると、実際には「関係構築」という本来の目的を十分に果たせていないケースが少なくありません。
単発のイベント告知、SEO記事やホワイトペーパーの定期配信が多い

ナーチャリング施策としては、ウェビナーを実施している企業が多くなっています。また、既存のSEO記事やホワイトペーパーをメルマガで配信し、「とりあえずコンテンツを届けておく」といった運用に終始してしまうことも少なくありません。
しかし、ナーチャリングには「顧客の悩みに答えるコンテンツの発信」と「顧客の興味関心度合いに合わせて常時コンテンツを届け続けるシステム基盤の構築」の両方が必要であり、どちらか一方を実施するだけでは、望むような成果を得られないのが実情です。
顧客の課題に踏み込めておらず、行動変容につながらない
SEOを目的として制作したコンテンツはどうしても用語解説的になり、「漠然とした悩み」に応えるようなコンテンツを生み出しづらい傾向があります。SEO記事は検索したときにはありがたい情報ですが、その内容について調べたいとき以外に受け取っても役に立つ場面は限られています。
ナーチャリングを機能させるためには、顧客の「まだ言語化されていない悩み」に共感し、解決策を提示したうえで、自社サービスへ自然と関心が向くようなコンテンツを生み出すことが求められます。そして、多くの企業にとってこのようなコンテンツづくりは新たな取り組みとなります。
商談につながるナーチャリングコンテンツの企画プロセス
ここからは、商談につながるナーチャリングコンテンツを企画するうえで押さえておきたい3つのプロセスを紹介します。

1. 顧客の悩みを洗い出す

ナーチャリングコンテンツの企画は、「顧客の悩み」を起点に考えます。
まずは、顧客がどんな悩みを抱えているのかを洗い出すことからスタートしましょう。ここで大切なのは、マーケターだけで完結させないこと。日々顧客と対話しているインサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスなどの現場メンバーを巻き込み、実際に耳にした“生の声”を集めていくことが欠かせません。
マーケティング部門だけで進めてしまうと、「自分たちが考えた仮想の悩み」に基づいた企画になってしまいがちです。実在する顧客の声をもとに企画をつくることで、顧客の行動を促すコンテンツをつくれるようになります。
2. 購買につながりやすい悩みを見極める

悩みを洗い出した後は、「どの悩みをもとにコンテンツをつくるか」を見極めるステップに入ります。
悩みの選定では、「悩んでいる人の多さ」と「購買へのつなげやすさ」のバランスを意識することが大切です。この見極めも、顧客と接するメンバーに「どの悩みを抱えている人が多いか」「どの悩みが最も受注につながりやすいか」を聞いたうえで判断するのがおすすめです。
3. 「悩み → 解決策 → 自社サービス」の構成を意識して企画書を作成する
単に顧客の悩みを解決するだけのコンテンツでは、ユーザーに貢献はできるものの、購買を喚起することはできません。商談化や最終的な成約につなげるためのコンテンツでは、お役立ち情報を届けるとともにサービスの利用を促す必要があります。
ナーチャリングコンテンツを通じて商談を生み出すうえで重要なのは、顧客の悩みを起点にしながら、「自社のサービスでその課題を解決できる」と自然に理解できる構成にすることです。そのためには、課題の示唆 → 解決策の提示 → 自社サービスの紹介という流れを設計する必要があります。
例えば、下図のような構成です。

ナレッジの深さが、ナーチャリングコンテンツの質を決める
ナーチャリングコンテンツで重要なのは、「顧客解像度」と「専門性のあるナレッジ」の2つです。
読者の行動を促すには、「これはまさに自分のための情報だ」と感じてもらえるような前提の共有が必要になります。そして、コンテンツを通じて「あなたのための情報」と伝えるには相応の顧客解像度の高さが求められます。
マーケティング部門のみで制作するコンテンツは、スピード感はあるものの顧客理解やナレッジが浅くなりがちで、共感を呼び起こす内容に仕上げることは困難であるという課題があります。こうした壁をクリアし、顧客の課題認識を引き出すナーチャリングコンテンツを生み出すためには、顧客と日々接している営業やコンサルタントといった現場メンバーの知見を借りる必要があります。

また、質の高いコンテンツを目指すうえでは、「競合との差を意識しすぎないこと」も大切です。
他社の類似コンテンツを参考にしながら差分を出そうとすると、どうしてもその内容や構成を前提にしてしまい、結果として“+αの付け足し”のような表面的な違いにとどまりがちです。
それよりも大切なのは、「顧客の悩み」を起点に企画をつくり込むことです。競合ではなく顧客を見て、自社の現場で蓄積されたナレッジをもとに企画すると、自然と競合とはかぶらない独自性のあるコンテンツになります。
社内ナレッジをコンテンツに落とし込む方法
現場の知見をうまく引き出し、読まれる記事に仕上げるためには、できるだけ現場の負担を抑えつつ、うまく巻き込む工夫が欠かせません。
ここからは、社内に眠るナレッジをコンテンツとして形にしていく具体的な方法をご紹介します。
パターン1:事業部に記事を書いてもらう
現場の知見を活かしてコンテンツを作成する最もシンプルな方法が「事業部のメンバーに記事を執筆してもらうこと」です。しかし実際に依頼してみると、次のようなケースに陥ることが少なくありません。
「忙しい」と執筆を断られてしまう
一度は了承されたものの、後回しにされて締め切りどおりに提出してもらえない
書いてもらったものの、文章力の観点で課題があり、修正に時間がかかる
この背景には、文章を書くことへの苦手意識や、「どこまで対応すればよいか分からない」という不安など、実際の作業量以上に心理的ハードルが高くなっているということがあります。
だからこそ、ただ「記事を書いてください」と丸投げするのではなく、以下のような工夫を取り入れることが重要です。
制作プロセスを明確に示す
「この部分はこちらで担当するので、ここだけお願いします」と役割分担を具体的に伝えることで、依頼された側も安心して対応しやすくなる一方的な“お願い”ではなく、「協働」のスタンスで
こちらも一定の工数を担っていることを示すことで、「そこまでやってくれるなら協力しよう」と前向きに捉えてもらえる確率が高まる

パターン2:インタビューで知見を引き出す
一方で、現場の知見を引き出すうえでより現実的かつ効果的なのが、インタビュー形式でのナレッジ抽出です。
「1時間だけ〇〇さんの話を聞かせてください」と依頼すれば、執筆依頼よりも受け入れてもらいやすく、協力のハードルも大きく下がります。
インタビューを通じてコンテンツ化する際は、以下のような流れが基本となります。

知見を引き出すインタビューのコツ
インタビューを行ううえで大切なのは、ただ質問を投げかけることではなく、相手の言葉を引き出す“聴く姿勢”です。
特に、初めてインタビューに取り組む場合は、形式にとらわれすぎず自然な対話を心がけるだけでも十分によい時間が生まれます。可能であればオンラインよりも対面で行うと、雑談も交えやすく、会話が深まりやすくなります。
そのうえで、以下のポイントを意識しておくと、実践的で深みのあるナレッジを引き出しやすくなるでしょう。
気持ちよく話してもらう
相手が話しやすい空気をつくれるよう心がけましょう。
雑談から入って場を和ませたり、「このテーマはぜひ○○さんに伺いたいと思っていました」など、相手の役割を尊重した声かけ(Why You)をしておくと、前向きな空気で会話を始めやすくなります。
遠慮しない。深掘りを恐れない
「これ以上聞いたらしつこいかな」とためらってしまいがちですが、もう一歩踏み込むことで、核心に近づけることもあります。
「あと3つだけ深掘りさせてください」など前置きするだけで、相手も構えず応じてくれることがほとんどなので、臆せず丁寧に深掘りましょう。
話を遮らず、脱線も歓迎する
テーマから少し外れているように見えても、すぐに軌道修正せず、しばらくそのまま話してもらうのもひとつの手です。
一見関係なさそうな話のなかにこそ、リアルな知見や独自の視点が眠っていることがあります。
また、話すうちに「もっと話したい」という気持ちが相手から自然に湧いてくることもあるので、その流れに寄り添うことも結果的に良質な知見の引き出しにつながります。
ナーチャリングコンテンツを活用するには
ナーチャリングコンテンツは、作って終わりではありません。誰に、どのように届けるか、どう活用するかによって、その成果は大きく変わります。
ここでは、代表的な活用方法と、効果を最大化するための工夫をご紹介します。

メルマガで配信する
ナーチャリングコンテンツの最も基本的な配信チャネルが、メールマガジンです。単に一斉配信するのではなく、できるだけ対象をセグメントし、読者の属性や課題感に応じた内容を届けることで効果は高まります。
例えば、業界別や企業規模別に顧客を分類し、それぞれにマッチした悩みを起点にしたコンテンツを用意するなどです。「この悩みを持っている人には、このテーマ」といった対応をすることで、反応率と商談化率は大きく変わります。
インサイドセールス(IS)と連携する
次に有効なのが、インサイドセールスとの連携です。ただ、「このコンテンツをお客様との関係構築に使ってください」と一方的に渡すだけでは、実際には活用されないことが多くあります。
そこで効果的なのが、制作段階からインサイドセールスを巻き込むことです。コンテンツのアイデア出し会議に参加してもらったり、インタビューを受けてもらったり。作る過程から関与してもらうことで当事者意識が高まり、積極的に活用してもらいやすくなります。
インサイドセールスから顧客へ「御社と同じ○○業界の方からよく伺う課題について、解決のヒントをまとめた記事を公開したんです」と伝えながらコンテンツを共有すると、1to1のナーチャリングにもつなげられます。
広告活用する
意外と見落とされがちですが、ナーチャリングコンテンツは広告とも好相性です。
「ナーチャリング=既存接点向け」と考えがちですが、顧客の悩みを起点に設計された良質なホワイトペーパーは、未接点顧客へのアプローチにも活用できます。
実際ある企業では、ナーチャリング目的で制作したホワイトペーパーを広告出稿したところ、リード獲得単価が5万円から1,500円にまで改善したという事例もあります。
また、ナーチャリングコンテンツはサービスの利用促進につなげやすいため、広告流入からの直商談を生み出すという観点でも有効です。
ナーチャリングが仕組み化されると、マーケティングの自由度が増す
ナーチャリングの仕組みが整うと、コンテンツを通じてリードの見込み度合いを高め、商談へとつなげることができます。
これは、バケツの穴をふさぐように機会損失を防ぐことに近く、展示会・広告・ウェビナーなど、あらゆる施策のROIを中長期で改善する効果があります。
あらゆるリード獲得施策のROIが改善することでマーケティング施策への投資判断がしやすくなり、「もっと施策を打ちましょう」「予算を増やしましょう」といった提案がしやすくなります。自由度の高いマーケティングを実現するには、集客を商談までつなげるためのナーチャリングの基盤づくりが必要不可欠です。
グロースソイルでは、顧客の悩みを起点にコンテンツを制作し、商談創出を支援する『ナーチャリングコンテンツ制作サービス』を提供しています。
実際に契約をする前に1本無料でお試し制作するキャンペーンも実施しているので、ご検討いただければ幸いです。
この記事の執筆者
株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
大学卒業後、新卒で人材系ベンチャー企業のネオキャリアに入社。マーケティング本部にて、新規BtoBメディア事業の立ち上げを経験。 その後、MAの導入活用支援会社に転職し、コンテンツ編集長として自社マーケティングと新規顧客開拓を推進。
2024年1月、株式会社グロースソイルを創業。BtoB企業のナーチャリング課題を解消できる会社づくりに取り組む。


