顧客理解を深めるための3C分析
2024/12/24
マーケティングをしていくうえで、顧客理解が必要であることは誰も疑う余地がない。顧客を深く理解している人・会社でなければ、顧客を動かすマーケティングメッセージは届けられない。
しかし、BtoB企業のマーケティング部門に所属していると、顧客接点の量が他部門と比べてどうしても少なくなる。顧客理解が最も求められる部署であるマーケティング部門が、顧客理解を深めにくい立ち位置にいるという矛盾はどんな企業でも生じている。そんなマーケティング部門の方は、自ら顧客のもとへ足を運び、対話を通じて理解を深める必要がある。
本記事では、マーケティング部門の方が顧客と話し、何を深掘りして聞くと顧客理解の深化に繋がるのかを解説する。
※本記事は、#B2Bマーケアドベントカレンダー2024 最終日の投稿として制作しています
顧客理解の深化がもたらすもの
弊社は創業以来、少数の顧客と深く関係を築くことで利益を生み出している。関係の深さを自称するのは趣味ではないが、創業1期目末の現在、このような結果が生まれている。
過去契約したお客様はすべて継続契約となり、現在まで支援プロジェクトが続いている
次年度以降、契約初年度の倍以上の予算を組んでご依頼いただくお客様が過半数を占める
「うちのことを深く理解してくれているグロースソイルさんに支援してもらいたい」と言っていただいたお客様が過半数を占める
ここでは、顧客理解を深めることでマーケティングにどのような好影響が生まれるのかを解説する。
本質価値の提供
マーケティング戦略および施策の精度は、顧客理解の深さに左右される。顧客について深く理解していれば、顧客が動くようなコンテンツを生み出し、顧客に届くプロモーションを実現できる。
私の自宅近所にある居酒屋Tを例に解説する。
居酒屋Tは田舎の住宅街にありながら、連日繁盛している。客観的に見て、居酒屋Tは以下の価値を顧客に提供していると考えられる。

こうして列挙すれば、全てが並列の関係にある価値のように見える。しかし、顧客について以下の情報が手に入った時、価値の見え方が変わる。
「Aさんは仕事で行き詰まって気が沈んだ時によく居酒屋Tを訪れる」
上記の情報が付与されると、Aさんにとっての価値は並列の関係ではなく、下図の通り整理できる。

このように、顧客に関する理解が深まる(≒持っている情報量が増える)と、本質価値と付加価値、非価値を区別できるようになる。
BtoB事業においても同様で、「顧客が誰(どんな会社・組織)なのか」「どのような場面なのか」によって本質価値は入れ替わる。今アプローチしたい顧客にとっての本質価値が何なのかが見えると、打つべき施策は自ずと決まる。
商談単価の上昇
BtoB事業の商談単価を上げるうえで、下記の要素が重要だと言われている。
「顧客が抱える根本的な課題を捉えて提案すること」
コンテンツ制作サービスを例に挙げると、「コンテンツをつくるリソースの補完」という表層的な課題を取り上げて提案する場合と、「商談を生み出すコンテンツの創出」という課題を取り上げて提案する場合では、後者の方が支援範囲・制作単価が高くなりやすい。
マーケティング部門のメンバーが顧客解像度を高め、表層に出ているわかりやすい課題の奥にある「顧客も気付いていない潜在課題」を捉える。そして、マーケティングメッセージに反映できれば、マーケティング活動を通じて商談単価の引き上げにまで貢献できるようになる。
顧客理解を深めるための3C分析
顧客理解を深める上で最も単純かつ有用なフレームワークは、3C分析だと考えている。

『Company』ビジネスモデルと組織を理解する

まずは、顧客のビジネスモデルを理解することから始める。
ビジネスモデルを一言で表すと、"儲けの仕組み"のこと。顧客が何で儲けて成り立っているのかを理解すると良い。
顧客のビジネスモデルに対する理解を深めるために、以下の要素を抑えておきたい。
誰にサービスを提供するのか
サービスを通じてどんな価値を提供するのか
どのようにサービスを成立させているのか
なぜ利益が生まれるのか
事業を営むうえでどのような制約条件があるのか
これらを理解すると、顧客のビジネスモデルが見えるようになる。
続いて、顧客の組織構造についての理解を深める。
多くのBtoBサービスは、企業内の特定の部門を対象として提供されている。ターゲット顧客が所属する部門の組織構造について理解すると、組織として動くなかでどのような業務や問題が発生しているのかが見えやすくなる。
組織を理解するときは、以下のような問いをもとに輪郭を明らかにしていく。
所属組織はどのようなミッションを背負っているか
所属組織は何名程度で構成されているのか
部門内でどのようにチームが分かれているか
各チームはどのようなミッションを背負っているか
各チームはどのように連携しているか
他部門との連携はあるか
どの部門と連携することが多いか
何を目的として連携することが多いか
所属組織で働くうえで、どのような課題を感じるか
ビジネスモデルと合わせて組織についての理解も深めると、顧客がどんな課題を持ち、どのように意思決定するのかがわかるようになる。
『Customer』エンド顧客を知る
BtoB事業を展開している場合、顧客の先にも顧客がいる。顧客を理解するうえで、顧客の顧客(以下、エンド顧客)を知ることは重要だ。

エンド顧客を知るには、以下の要素を情報として収集すると良い。
エンド顧客が企業の場合
業界
部門
企業規模
役職
課題 など
エンド顧客が個人の場合
年齢
性別
収入
趣味趣向 など
エンド顧客の理解については詳しく実施しようとするとキリがないうえ、顧客情報を聞き過ぎると不信感を与えることもあるため、あまり踏み込まない方が良い場合もある。上記の要素程度に留め、誰を対象として事業を展開しているのかを把握しておくのがちょうど良いだろう。
『Competiter』顧客が意識している競合を把握する
顧客の事業環境を知るうえで、競合についても把握しておきたい。

競合については、以下の要素を把握できると良い。
どの会社・サービスを競合と認識しているか
なぜそれらの会社・サービスが名指しで挙がるほど意識しているか
各社は何を提供価値として自社を定義しているか
各社の活動と比べて、自社が勝っていると感じるところはどこか
各社の活動と比べて、自社が遅れを取っていると感じるところはどこか
競合についての情報を得ることで、結果として顧客についての理解が深まる。顧客が名指しで取り上げるような競合の提供価値を確認すると、顧客が自社サービスを通じてどんな価値を提供しようとしているのかが分かりやすくなる。
顧客のナラティヴを知る
書籍『他者と働く』には、このような記載がある。
「ナラティヴ(narrative)」とは物語、つまりその語りを生み出す「解釈の枠組み」のことです。
引用:他者と働く|NEWS PICKS PUBLISHING p32
人にはそれぞれ物語がある。同じ現実のなかにいるように見えて、それぞれ思考を通じて現実を解釈している。
顧客に届くマーケティングコミュニケーションを実現するには、顧客が持つナラティヴを知る必要がある。顧客が持つナラティヴを知ることで、届けたいことを届く言葉に落とし込むことができる。
直接顧客に聞くのが難しければ、ターゲット顧客に該当する人をビザスクなどで探してインタビューするのも一つの手段として考えられる。顧客理解を深め、マーケティングメッセージを研ぎ澄ませるための一助となれば幸いだ。
グロースソイルでは、商談を生み出すためのコンテンツマーケティングについての無料壁打ち会を実施しています。
「コンテンツ発信をしていて集客にはなるけれど、商談までつながらない」
「MAでのシナリオに有効活用できるようなコンテンツをどう作れば良いかわからない」
といった悩みを抱えている方にとって、良い情報を提供できるかと思います。ぜひお気軽にお申込みください。
コンテンツマーケティングの無料壁打ち会申込フォームはこちら
この記事の執筆者
株式会社グロースソイル
代表取締役
髙橋 航平
Adobe Marketo Engageの導入支援会社にてコンテンツ編集長を務めたのち、2024年に株式会社グロースソイルを創業。
ナーチャリングに特化して、マーケティング支援サービスを展開。独自のナーチャリングモデル『アクションナーチャリング』をもとに、BtoB企業に顧客指向のナーチャリングを実装している。


